攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
DVDで。 1万オーバーというと、ちょっと購入を躊躇われるものがあるが、薄雲の立ち込めてきた日本アニメ勃興の為の寄付だと思えば腹も立たない(笑) などと失礼な事を考えつつ購入したのだが。 結論的には、良質の作品である。 1万ちょっと、損したとは思わない。再見に耐える作品なので、数回で元を取れる勘定だしな(笑) 映像・音楽ともクオリティは高く、劇場用としても十分に通用するはずだ。特に3Dアニメ部分と2D部分のフィット感には感心した。ありがちな3Dの<浮いた>感じが無い-少なくとも気にならない。 技術はもちろんだが、演出の上手さと言えるだろう。 欲を言えば、「事件の真相」が、原作版-押井版に通底する、ある登場人物のキャラクタ観の変奏曲(着地点が同じ)という点は、もうちょっと独自性を出してくれても良かったかな。特にマンガ版の「攻殻2」を読んでると早々と推測がついてしまう(俺はそうだった)。 SAC世界ではアソコまでいかなくても、もうちょっと手前の落とし所の方がよかったような気がしなくも無い(勝手なイイグサ)。 良かれ悪しかれ「攻殻」なので、例によってバックググラウンドの説明を衒学的台詞回しに頼り勝ち(これは押井版にも共通するが。考えてみりゃあ原作自体もそうか)なキライはあるが、情動やポコチンではなく脳みそで見るアニメというのもたまにはいいものだ。 ただ、商売として考えた場合、「万人向けか」「一般ウケするか」というと…こりゃあ無理だろう、と。 フツーのヒトには、「ワケワカンナイ小難しいアニメ」にしか見えんだろうと。その意味では劇場公開ではなくPPV→高額DVDというのも止むを得ないか、とも思う。 一ファンとしてはシリーズの次に繋がるような収益があがることを望むが、マスなマーケット向けではないのでかなり難しいのではないか(あ、でも「攻殻」だったら海外マーケットもあるか…)。 つーことで、応援の意味も含めてここにつらつら感想を書いてるわけなのだが(笑) アニメの収益と言えば、こんな記事が。 GDH:DVD売り上げ不振で3月期は赤字に アニメビジネスのGDH(東京都新宿区、石川真一郎社長)は21日、決算説明会を開いた。07年3月期の連結業績予想を下方修正し、通期の経常損益は当初予想の6億200万円の黒字から16億円の赤字に転落。最終損益も3億4500万円の黒字から16億円の赤字となる見込み。この責任を取り、村濱章司会長が11月1日付で取締役に降格した。YouTubeでバラまかれても売れてる作品もあるのは事実なので、この分析には一概に頷けない。この会社の他の作品はよく知らないが(マジメに見てるのは「パンプキン・シザーズ」くらい)、少なくとも「ブレイブストーリー」はさして見るべき所もない作品だったので、あれだけ製作(豪華声優陣)と広宣に金かけたら回収は大変だろうと思うけど(笑) この認識だと「YouTubeやnyが存在する限り赤字です」と言ってる様にも聞こえる。それはそれで問題発言なんじゃないのかねぇ。「タダ見」がDVDの売り上げに響くというのなら、さしてカネにはなりそうもないUHF局での放送をしてるのは何故?という気もするし。 少なくともこの認識を認めると、動画サイトやP2Pを全部潰すという方法が些か非現実的に思える以上、収益性の大きな部分をDVDに依存しているというビジネスモデル自体見直す必要があるように思えるのだが。 一般論を振りかざす気は無いけど、まずDVDを買いたくなるような良質な作品ありき、という基本は忘れないで欲しいものだ。 世の中には作品名だけで中身も確かめずにマンガ映画に1万以上払う馬鹿も存在してるわけだし(笑)
by SIGNAL-9
| 2006-11-27 16:40
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