因縁話ではなく、いつ・どこで・なにが・どうした、が具体的かつ体験者本人の談話として語られている、奇譚らしい奇譚である。 日露戦争当時に金澤師団の中隊長に三上新五郎歩兵大尉という人物がいたのかどうか、皇典講究所の卒業生に三上新五郎という人物がいたかは、両組織とも公的機関なので、まあ調べれば判るのだろうが、詮索したところで本筋とは関係ないから止めておこう。 ゲロの中の紫紺色の固形物が発火した。 いわゆる「人体自然発火」とは少し違う。 怪談・奇談にありがちな同工異曲話もちょっと思い当たらない。 人から炎が出た話をあえて探すと、『醍醐随筆』(寛文十年)に、あるひとの下女が閨で髪をとかしていると髪の中から火の粉がはらはらと落ちた、という話がある。 著者の中山三柳は、『代酔編』や『博物志』から事例を引いて、女の髪油が湿気や熱に蒸されて火が付いてるのかもしれないが、それだったらどんな女にでも発生してもよさそうなもんだよな、と述べている。 確かにこの髪の例だったら、髪油+雲脂+静電気とか蛍光菌あたりで説明可能な気もするが、さすがにゲロが燃えたというほど派手な現象ではない。 さよう、現象が派手すぎて、なんだか超自然現象というより推理小説みたいな話である。
…みたいな条件に合致する化学物質はないのだろうか。 俺はそういうことにはトント疎いのでまったく思いつかないが、SRIの牧史郎だったら快刀乱麻の解決をみるかもしれないな。 【2012/08/18追記】 『日本猟奇史 大正・昭和編』(富岡直方、昭和8年。参照したのは平成20年の国書刊行会の再販本)によると、『文藝春秋』に掲載された岡田建文の記事「現代怪異の実録」(掲載年は不詳)に、上と同じ趣旨の記事が掲載されているようだ。 ところが、富岡が引用している建文の記事を読む限り、話の細部が異なるのである。 起こった怪異は同じだが、発生場所(三重と岐阜)、発生年月(大正6年と8年)、体験者のプロフィール(中学教師と神主)、問題のブツの色…など、明らかに異なる。 富岡は引用している「現代怪異の実録」の掲載年号を書いてくれていないので、どちらの記事が後にかかれたものなのかは判らないが、単純な引用ミスではすまないよな。
by signal-9
| 2012-02-14 11:33
| 奇談・異聞
|
カテゴリ
全体 一般の話題 奇妙な論理 奇談・異聞 秋葉原 研究(笑) 町歩き 古い話 東電災害 電算機関係の話題 情報保護・セキュリティ 読んだり見たり TIPSとかKludgeとか 拙作ソフトウェア 未分類 最新の記事
記事ランキング
以前の記事
最新のトラックバック
その他のジャンル
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||