新宿の健康安全研究センターに確認に行く。風評被害を防ぐため。 猪瀬直樹Blog 2011/04/26
「地上20メートルの計測はおかしい。計測値の低いところだけで計っている」とか「地面近くの子供の背丈ぐらいのところでなぜ計測しないのか」など俗説がツイッター上で流されている。生半可な知識で専門性を否定する風評は許されない。俺はツイッターやってないが、生半可な知識の持ち主-どころか、まったくの素人-であることは自覚している。 であるのにこの話題を書き散らしている。 まさに猪瀬副知事いわくの「風評加害者」なのかもしれない。 だが、この副知事の記事で「安心できた」人がどのくらいいるのか? テルテル坊主のようなものがある。モニタリングポスト検出器だ。放射線はアルミのカバーを通り抜け、内部のヨウ化ナトリウムの結晶にぶつかり光を発する。下の太い部分には光の量や強さを数値化する器械が入っている。「より正確に」というのは平時の空間線量の話であればまさにその通り。 だが、今が平時の状態だろうか?
いささか危険厨みたいな物言いになってしまったが、俺も放射線による直接的な「健康被害」に関しては、原発が今の状態で推移する前提なら、東京都の殆どの場所では問題にはならないだろうと思っている。 だが、いまや放射線による直接的な「健康被害」だけがリスクではないのである。不安・ストレスによる「健康被害」や経済的損失まで考えないといけない段階だ。 副知事の記事で違和感を禁じ得ないのは、 「地上20メートルの計測はおかしい。計測値の低いところだけで計っている」とか「地面近くの子供の背丈ぐらいのところでなぜ計測しないのか」など俗説がツイッター上で流されている。生半可な知識で専門性を否定する風評は許されない。という、記事の出だしの部分だ。 これは<俗説>ではなくて、<疑問>である。 作家の顔も持つ副知事はもう少し言葉のセンスがあってしかるべきと思うのだが、要するにこの一文から、疑問の声はすべて『俗説』・『風評』=『悪』であるという前提があることが透けてみえる。そこから話が始まっているから、柏市役所と同じように『かみ合ってない』のである。 「危険であるかないか」という問題と「不安であるかないか」という問題は別なのである。「安全」だけではなく「安心」も問題なのである。 猪瀬副知事が問題にしているのは「安全」の観点だけだが、後者は今や、少なからぬ人々にとって前者に劣らない大きさの問題であり、「風評」の根っこはむしろそっちだ、ということだ。 猪瀬副知事が本当に「俗説」や「風評」を何とかしたいのであれば、もっと納得の出来る調査結果を公表し、「不安」の解消に努めることが肝要と思う。 本当に不思議でならないのだが、東京都でも区でも良いのだが、持ち運べる簡易型のサーベイメータで「ヤバそうなポイント」を選択的に調べてみて、もしも「ホントにヤバそうなところ」があったら、より「正確な調査」をする、という程度のことが何故出来ないのか。 都市排水の溜まりやすいところ、公園などの土壌・芝生といったCsが滞留しやすいところ、他検査機関の観測からどうみても相対的に空間線量が高そうな地域など、「ヤバそうなポイント」の知見はすでに得られてきている。 例えば、今やホットな話題である下水道汚泥の調査。東京都からは未だに何の発表もない。 賭けてもいいが、東京都下水道局の所管からも検出されるはずだ。これは猪瀬副知事とて合意できることだろう。問題は「どのくらい検出されるか・汚染は実際にどのくらいなのか」がまったくわからないという点である。 「カガク的に正確な」値を求めるのは後でいいので、多少不正確でもよいから「ヤバそうなところ」の色分けぐらいの調査は、不安解消のために進めるべきなのではないか。 核種分析まで全部やって、「正確な値」を得ないと何も手が打てないわけでもあるまい。簡易サーベイで万が一「これはちょっと」という値が出たら、例えば立ち入り制限などの措置をとりあえず取っておき、そこを重点調査、で何が悪いのか。 この程度のこと、そんなにバカなコストがかかるとも思えないのだが。 猪瀬副知事は「風評」の一言で切って捨てているが、「風評」が収まらないのは、「不安」を鎮めるだけの調査が行えない(行わない?)自治体の責任なのである。
by signal-9
| 2011-05-11 18:41
| 東電災害
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