<   2011年 05月 ( 12 )   > この月の画像一覧

東京都の下水放射線。相変わらず収支が不明

下水処理における放射能等測定結果 5月10日~12日

多少細かい数字が出てきたのだが、これをみるとイロイロ気になることが。

■やっぱり東京北東部の方が高汚染?

 「スラッジプラント」は水再生センターでできた汚泥の処理を行っている=つまり後処理とのことなので、「水再生センタ-」での汚泥だけで比較してみる。

 実際に何トンの汚水を処理したのかという「入力」の数字が提供されていないので、それぞれの水処理センターの計画的処理面積が概ね汚水を集めた面積と仮定して、汚泥のセシウム濃度と計画的処理面積の比率(Bq/kgをhaで割る)を出してみた。

大きい順に並べてみると;
みやぎ水再生センター    0.76
葛西水再生センター     0.64
北多摩二号水再生センター  0.37
北多摩一号水再生センター  0.16
新河岸水再生センター    0.09
浅川水再生センター     0.02
多摩川上流水再生センター  0.02
清瀬水再生センター     0.02
八王子水再生センター    0.01
南多摩水再生センター    0.01
となり、「みやぎ(足立区)」と「葛西(江戸川区)」が桁違いに高い。


 同じ23区内ということで、「みやぎ」と「新河岸」で比べてみると;
(「新河岸」は「浮間水再生センター」と共同処理だが、「発生した汚泥は浮間水再生センターから圧送された汚泥とともに、全量をセンター内で焼却処理」とのことなので、当該地域の汚泥の全処理を行っていると見なす)

新河岸水再生センター
「処理区域は、練馬・板橋・杉並区の大部分と中野・北・豊島・新宿区の一部で、面積は10,474ha」

みやぎ水再生センター
「処理区域は、北区の大部分と板橋・豊島・足立区の一部で、面積は1,687ha」

つまり、「みやぎ」は「新河岸」と比べると処理区域の広さが6分の1以下なのに、1.3倍以上のセシウムを集めていることになる。

 未だデータが乏しい(荒川とか文京のあたりを処理している三河島水再生センターなどの汚泥の数字がない)ので、早計は差し控えるが、東葛方面の空間線量が高いという件と合わせて考えると、東京北東部の方が汚染度が相対的に高いことを示唆しているような気もしないでもない。

【6/1追記】
見逃していたが、浄水場発生土の放射能測定結果についてをみると、5月17日時点でセシウムは
金町 4,100bq/kg
朝霞 2,200bq/kg
小作   620bq/kg
東村山 1,540bq/kg
やはり東京の北東部にある葛飾区の金町浄水場が優位に高い。

■ セシウムの行き先がよくわからない。

 5月11~12日という時点にも関わらず、汚泥には微量ながらまだヨウ素が検出されている。焼却灰では当然ながらヨウ素はほとんど不検出。沸点が低いから焼却処理で気化して「どこか」にいってしまったのだろう。いずれにしてもヨウ素は平均で111Bq/kg、漏れたとしてもさして問題にはなるまい。

 やはり気になるのはセシウムである。

 以前にも引用したが、南部スラッジプラントの資料だと、「脱水汚泥と比べて重量比で約4.5%の灰に減量化」とあるので、減容率は100:4.5=22倍と仮定してみる。
 例えば「葛西」ではCs計が3150Bq/kgなので、22倍に濃縮されるとすると、焼却灰は69300Bq/kgになるはずだが、実際は53200Bq/kgである。つまり、灰には理論値の43%だけが残ったという勘定になる。
同じ計算をして並べてみると;
東部スラッジプラント    43
葛西水再生センター     43
みやぎ水再生センター    35
新河岸水再生センター    50
南部スラッジプラント    54
北多摩一号水再生センター  43
南多摩水再生センター    22
北多摩二号水再生センター  53
浅川水再生センター     56
多摩川上流水再生センター  60
八王子水再生センター    63
清瀬水再生センター     54
 つまり、灰に残ったセシウムは平均で 48%=半分弱。残りの半分強は「どこか」に行っていると推測できる。

 「どこか」といっても、脱水汚泥→焼却灰+排ガス(煤塵)と思われるので、まあ、排ガス(煤塵)中に含まれていると考えるのが妥当なのではあるまいか。

 前にも書いたが、排ガスを放出する前の排煙処理段階でバグフィルタなどで捕まえられていることを強く希望するが、そのデータは相変わらず提供されていない。

…どうも怪しいんだよな。
 確かに「空間線量は上がってないよ」つまり「煙突からは漏れてないよ」と言いたいらしいデータが付いてるんだが、そもそも、施設ごとに空間線量の「平均値」ひとつだけ、というのはどうなのよ。
 例えば葛西水再生センターなんて、施設面積「361,774平方メートル」だぜ。36万平米の内、何カ所で計った「平均値」なのかも公開しないで、「平均で0.14μSv/hでした。以上」で、何かの説明になってるのかねえ?

 前にも書いたが、再び、ちゃんと収支が推定できる情報を公開すべき、と訴えておこう。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-31 17:46 | 東電災害

「一般公衆の1年間の被曝限度は 1mSv」ではない。

東日本大震災:県、東葛で線量調査へ 基準統一し31日から /千葉 毎日新聞 2011年5月27日 地方版
 東京電力福島第1原発事故の影響を測定するため、県は31日から、統一基準を設定し、柏市など東葛地域6市を手始めに、県内全域へ、順次、放射性物質の測定を広げたい考え。県が放射線量を測定する施設は、県中央部の市原市の施設だけだったため、独自に地域の線量調査を実施する自治体が相次いでいたが、測定基準がバラバラで、近隣と比較できない状態が続いていた。

 県によると、今後は地上50センチと1メートルの空間放射線量をサーベイメーター(携帯型放射線測定器)で測る手法に統一する。県に対し、「きめ細かく、統一した基準で測定すべきだ」との要望書を提出するなど、汚染を懸念する声が強まっている6市で、31日からの2日間、調査を実施することにした。【斎藤有香】


 誤解を恐れずにいえば、東葛で今まで観測されている0.3~0.4μSv/hという値は、それだけみるとたいしたことはないと思われる。

なぜか。

 「ICRPの勧告によれば、一般公衆の1年間の被曝の限度は 1mSv 」という言い方はけっこう聞くのだが、これは明らかなミスリードである。

 ICRPの基準は、「一般公衆の1年間の被曝の限度」ではなくて「一般公衆の1年間の人工放射線からの被曝の限度」。つまり、この「1mSv/y」には、自然放射線による被曝や、医療行為による被曝は含まれていない。

 例えば、地上1メートルで簡易的なガイガーカウンタで計った放射線が 0.128μSv/h だった、とする。0.128*24*365 = 1.12mSv/y となるので、これは被曝限度を越えている…ではない。

 この測定値が「正しい値」だったとして、測定値からあらかじめ自然放射線分を除外してなければ、この 0.128μSv/h は自然放射線も含んだトータルの値である。

KEKの「暮らしの中の放射線」によれば、1992年の日本一人あたりの被曝平均は3.75mSv/y。
内訳は医療被曝(2.25)+自然外部被曝(0.67)+自然内部被曝(0.81)+その他(0.02)。

 つまり、自然外部被曝 0.67mSv/y=0.076μSv/hくらいの放射線は元からそこにある分。ICRPや日本の基準である「1mSv/y」は、これ以外の【余分】である。

 余分の1mSv/yを「受け入れる」とすれば、0.67と合算し正味の空間線量にして、1.67mSv/y = 0.19μSv/hが許容量。
 0.128μSv/hなんてのはむしろ低い値である。

 それでも確かに、0.3~0.4μSv/hはこれに比べれば高いが、0.67mSv/y(0.076μSv/h)はあくまでも「日本の平均値」である。
 世界平均では 2.4mSv/y = 0.27μSv/h。
 NRCの資料によれば、アメリカでの自然被曝はさらに高くて、平均 3.1mSv/y(0.35μSv/h)
 コロラド州デンバーなどでは、ウラニウム鉱脈と宇宙線の影響もあってもっと高い。5mSv/y=0.57μSv/h。でもデンバーでヒトが放射線でバタバタ死んでいるかというと、そんなことはない。

 東葛でも、調べてみた結果「空間線量は、東葛のどこもアメリカ平均並み。デンバーよりもはるかに低いです」ということにはなるかもしれない。

 でも、だから「安心」…ということには、おそらくならない。

 「住民の不安」の元は、もう「空間線量の過多」には無いからである。
 問題はもう、「正しい」空間線量ではなく、土壌汚染の濃淡に移っている。


 地表に落ちた放射性降下物に由来するγ線は、特に都市部ではおそらく数十メートルと届かないので、数キロ平方に一カ所の単純なメッシュの観測では、「数百メートル動いただけで線量がまったく異なる」みたいなところがでるだろう。
 「平均としてはアメリカなみ」でも、「濃い」場所があって、それを吸い込んだりしたらどうする…というのが「住民の不安」の正体だとすれば、滅多にヒトが近寄らないような場所だったら無視できるだろうが、そうでない場所は優先的に調べて、対処できるところは対処してしまわないと「不安の解消」にはならないだろうということだ。

 「住民の不安解消」が主目的であるのなら、他に比べて汚染が高くなっている場所の特定・およびそこからの内部被曝リスクを低減するという、除染措置を織り込んだ積極的な観点での観測-というよりは調査-が必要だろう。

 水の溜まるところ、公園などの草や木が多いところなどを選択的に計測してみることが必要だろうと思われる。つまり、サーベイメータの向け先を選んで観測する、ということである。

 可能であれば、モニタリングカーを走らせて、「点」の観測ではなく、「線」の観測を行い、そこから放射線の等高線を引いてみて、高いところは重点調査、みたいなことができると良いだろう。
 そこまでコストをかけるのは難しいのであれば、学校や幼稚園を優先して調べるというのはよいことだと思う。

------------

 個人的には、この「空間線量 1mSv/y」にはあまり振り回されない方が良いように思うのである。
 「20mSv/yまでは何もしない」という当初の文科省の方針は論外だが、何が何でも1mSv/yでなきゃならない、ということでもない。

 リスク評価の上で「空間線量」だけにフォーカスし、ましてや「トータルが1mSv/y」などと意味を取り違えていたりすると、

 「医療被曝分を減らす方が手っ取り早いや。健康診断のバリウム検査やめれば6mSv余裕だからな。今年は胃カメラにしよう」
「ウチの子はことし健康診断のレントゲン検査は無しでお願いします」

みたいなヘンな考え方(いや、まあ、それもひとつの考え方ではあるが)になっちゃわないか。

 そんなことを心配してるのである。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-30 17:35 | 東電災害

「セシウムは30年で半分にしかならない」か?

「セシウムの半減期は30年。つまり30年で放射線量は半分にしかならない。だからここにはン十年住めない」みたいな論法についてちょっと考えてみる。

 現在の空間放射線の大半がセシウム同位体由来であることは確からしいと思われる。

 だが、今、問題になっている「セシウム」には二種類ある。Cs134と137である。Cs137の半減期は確かに30年だが、Cs134は半減期2年である。

原子力資料情報室によれば;

Cs134 半減期 2.06年
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.19ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小さな線源があると、ガンマ線によって1日に0.0055ミリシーベルトの外部被曝を受ける。

Cs137 半減期 30.1年
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.13ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小線源があると、ガンマ線によって1日に0.0019ミリシ-ベルトの外部被曝を受ける。

 つまり、Cs134の方が半減期が短い=放射線を短い時間でいっぱい出すから燃え尽きるのが早いというわけだ。同じ距離(1m)に同じ量(100万Bq)あると、0.0055:0.0019=2.89:1 なので、Cs134の方が2.89倍「明るい」と。

 今、我々が受けている原発由来の放射線について考えてみる。
 この放射線はCs134とCs137の両方から受けているもののトータルである。

 Cs134とCs137の量が同じくらいだと仮定すると、Cs134の方が2.89倍「明るい」から、大雑把に我々の受けている放射線のだいたい6割くらいがCs134のせい、と仮定してみよう。

 つまり、Cs134が600、Cs137が400くらいの「明るさ」として、このトータルが1000。このトータル1000が、今我々が受けている放射線だとする。(桁に意味はない)

 2年(730日)後にはどうなるかというと、Cs137はほとんど減らないので明るさはそのままだが、CS134は半減期で元の50%の明るさになる。トータルでいうと689くらい、つまり元の1000の69%である。

 4年後には52%、元のおよそ半分になる。

 Cs137の半減期30年の半分、15年後には、Cs134は元の1%以下になるので、トータルとしては元の28%くらいになる。

 もっと悲観的に、134と137に由来する放射線量の比が1:1だとしても、4年で58%、7年で元の半分以下になる。

 勘違いしないで欲しいのは、別に「だから安全だ」みたいなことをいってるのではないということだ。
 仮定が多いし、素人のざっくり計算なので間違ってるかもしれない。

 だが、いわゆる「セシウム」には半減期の短いCs134が含まれていること、そして物理的半減期は絶対に変わらないことは明らかなことなので、「30年で放射線量は半分にしかならない」はあまりにも悲観的すぎる見積もりなのではないか、ということだ。

 核種分析だって十分に行われているとはいえないし、放射線量だって明らかにかなりマダラである。まだまだ判らないことが多い。

 情報が少ない段階で楽観的すぎるのは論外だが、悲観的すぎるのも先を見誤る元になると思う。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-26 18:04 | 東電災害

都市の除染についてちょっと考えてみる

郡山市 表土除去作業前後の放射線量測定結果によると、軒並み50~70%、元々線量の高かったところは90%低減という顕著な結果が出ているようである。

 都市部の除染に関していえば、文科省流の「天地返し」などという実効面・コストパフォーマンスの点で大きく疑問符の付く方法より現実的な方策であることが強く示唆されたのではあるまいか。

 チェルノブイリから得られた知見で明らかなように、農地には農地の、都市部には都市部の対策を考える必要があり、土の持って行き場がないから「天地返し」で、みたいな場当たり的な対策では実行性がないと言わざるを得ない。

 今のところ確かに除去した残土の処理が問題になっているようだが、これはおそらく、下水汚泥処理と同じで「なんとかしないといけない」わけだから、類似の戦略が取れるのではないか。
 つまり単純には、沈殿-焼却でできるだけセシウムを濃縮回収して嵩を減らして、避難区域で人がいない場所にとりあえず保管するとか、俺がかねがね主張しているように、適切な固化を施した上で深海投棄なりとか、色々方法は考えられるはずだ(後者にはもちろんロンドン条約はじめとする縛りがあるので諸外国との調整が必要だろうが)

 いずれにしても、一回こっきりでコスト高な「天地返し」よりは現実的な解に近いと思う。

 都市部の除染と言うことでは、もうちょっと知見を集めるといいだろうと思うのは;

コンクリートやアスファルトの道路に対する除染で、例えばロードスイーパー(ブラシ式路面清掃車)はどのくらい効果があるのか(無いのか)。

 郡山の校庭除染では、コンクリート部分に対してロードスイーパーが一部使われたようだが、公表されている資料ではどの程度効果があったのかよくわからない。だが、おそらくある程度の効果は期待できる。
 またこれで効果が薄い場合には、通常の道路補修のリソースである路面切削機のようなものの利用も考えられると思う。
 たぶん、アスファルト道路は経年で摩耗していくので漸進的に表面に沈着した放射性物質ははぎ取られていくだろうが、そうすると再飛散で内部被曝というリスクもあるかもしれない。管理した状態で積極的にはぎ取ってしまうという手段は考えておいてよいのではあるまいか。

「デッキブラシでゴシゴシ」「高圧洗浄機でジャ-ジャー」にどのくらい効果があるのか(ないのか)

 文科省も「天地返し」の実験やってるくらいならこういうのもテストしてみるべきだと思うのだが。表面線量測れるサーベイメータでまず計測し、流水かけながらゴシゴシこすり、乾いた後に再度計測…である程度見通しが立つだろうと思う。

 予想では化粧レンガやタイルみたいな比較的なめらかな表面と打ちっ放しのコンクリートとかではかなり有効性が違うだろう。また、水とブラシだけではなくなんらかの洗剤(環境負荷の低いものに限られるだろうが)を加えることで効果を上げることは出来ないのだろうか。
 個人的には何かイイ感じの界面活性剤みたいなものくらいありそうなものだと思うのだが。この辺りは化学屋さんの出番だろう。

 福島県はじめもう既にやっている所は多数あるだろうが、チェルノブイリの教訓では、除染作業というのはコスト評価を行って優先度を付けないと大規模・継続的に行うことが難しいというものだった。
 例えば屋根の上の洗浄は便益(効果)はあるがコスト高なので優先度を下げる、みたいな判断が必要ということだ。
 そういった見通しを立てる為に、闇雲に洗うのではなく投下コストと得られたメリットを比較することは重要と思う。

逆にコンクリートで土壌を遮蔽した場合の効果は?

 容易に土が除去できない様な場合にはとりあえず遮蔽して被害拡大を防ぎ、本対策までの時間を稼ぐという手段も考えておくべきだろうと思う。そのままン百年放置というわけにはいかないだろうからあくまでも暫定対策だが。

 原発や核シェルタに使われている放射線遮蔽コンクリートとまでいかなくても、コンクリート製の建物の内部では外部からの放射線がかなりな程度遮蔽されることを考えると、おそらくこれもある程度の効果は期待できる(これの一番大規模なのがチェルノブイリの「石棺」だ)。少なくとも再飛散による内部被曝のリスクの低減は期待できる。

 公園の真横にコンクリートの駐車場でもある場合なら、公園はコンクリートで覆ってしまい駐車場として利用、駐車場側はコンクリートを剥がしてしまえば汚染されていない土が出てくるわけだから公園で利用というわけで万々歳なのだが、そう上手くはいかんだろうなぁ…。でも個人の庭で、小さなお子さんがいて…という場合には、遮蔽という手段は検討してみる価値があるかもしれない。

下水処理場の焼却処理によってどの程度キャッチできるのか(できないのか)

 「都市」を積極的に洗ったら、かなりの放射性物質が下水に流れることになる。現状の下水汚泥の資料からは、どの程度汚泥・焼却灰にキャッチできているのか・再飛散がどの程度起きているのかの収支がよく分からない。
 この間から書いているように、個人的には既存の減容機構で、セシウムのかなりの部分は回収できているのではないかと期待しているのだが、いずれにしてももっと詳細な調査は必要だろう。

 いずれにしても知見を集め、優先度を付けて手を打っていくという、ごく一般的なリスクアセスメントのサイクルに乗せることが重要だと思うのだ。

 そして俺は、そういう対応が出来て、又やるべきなのは、住民と対面している地方公共団体だと思うのである。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-24 18:27

調べてないのなら「風評」もクソもない。

<放射性物質>農産物、3割の市町村未検査 定点観測を優先 毎日新聞 5月20日(金)15時0分
福島第1原発の事故を受け厚生労働省が農産物などの放射性物質の検査を求めている11都県の自治体のうち、約3割にあたる146市区町村が5月中旬までに検査を一度も実施していないことが分かった。同一地域での定点観測を優先したり、検査機関の処理能力に限界があるためで、厚労省は「検査しないと風評被害が起こりかねない。なるべく早く全自治体で実施を」と呼びかけている。
食品中の放射性物質の検査が未実施の市区町村数 (5月13日までの集計分)
福島  0 (原発周辺自治体などを除く)
茨城  8 (取手市、竜ケ崎市など)
栃木  5 (那須町、益子町など)
群馬  7 (桐生市、嬬恋村など)
宮城  0 (被災自治体などを除く)
山形 22 (米沢市、鶴岡市など)
新潟 13 (十日町市、阿賀町など)
長野 14 (飯山市、軽井沢町など)
埼玉 51 (春日部市、飯能市など)
千葉  2 (鋸南町、神崎町)
東京 24 (町田市、あきる野市など)
荒茶:検査要請 産地続々拒否へ 毎日新聞 2011年5月20日
厚生労働省が、生茶葉を乾燥させた「荒茶」の放射能検査を東日本の14都県に求めた問題で、神奈川、埼玉、栃木の3県は19日までに、検査をしない方針を決めた。静岡県の川勝平太知事も18日、検査要請に応じないと表明しており、産地自治体の反発が広がっている。

 荒茶は生茶葉に比べ放射性セシウムは5倍以上に濃縮されるが、厚労省は生茶葉、荒茶とも1キロ当たり500ベクレルと同じ暫定規制値を設定している。「足柄茶」の産地である神奈川県は「今の規制のままでは、生茶葉で規制値を下回っても、加工段階の荒茶では上回るという矛盾が生じる。湯に溶けだすセシウムは生茶葉の数十分の1で、飲む状態に合わせた規制値に改定すべきだ」と指摘、新たな規制値が示されるまで荒茶の検査は実施しない意向だ。「狭山茶」で知られる埼玉県も「現在の荒茶の規制では茶の産地は壊滅する」としている。

 「奥久慈茶」などで知られる茨城県は最終方針を決めていないが、19日時点で検査に応じていない。
放射能不安 流通している食品は安全です
内閣府食品安全委員会専門委員の唐木英明さんは科学的な食品安全の専門家として、「今回の暫定基準値に示されたセシウム5mSv(ミリシーベルト)/年、ヨウ素2mSv/年という値は安全性を示すもので、この基準を超えた食品は産地から外に出ません。ですから流通に出回っている食品は絶対に安全です」と冷静な行動を呼び掛けています。
そもそも調べていないのに「流通してないから安全」とはこれ如何に。

そういえば、出荷自粛サンチュが出回った件で、
グリーンファームの杉藤和夫社長は朝日新聞の取材に、「あくまで自粛で、出荷が禁止されていたわけではない。自分で問題ないと判断した」と説明。
まあ、確かに「出荷自粛要請」は「出荷停止」ぢゃないわけだからな。

 クドいようだが、俺は過剰にゼロリスクを求めることは百害あって一利無しだと思っている。

 一般的な食品の暫定基準値500Bq/kqというヤツは、かなり悲観的に見積もっても、俺にとってはさしたるリスクになるとは思っていない。
 Cs137 500Bq/kgだったら、1日3キロずつ喰っても実効線量で8mSv/yくらいだ(ストロンチウムが10%程度含まれているとしても、リスク的にはさして変わらない)。
 実際上は、飲食物全部が500Bq/kgなんてことはなかろうし、普通一日3キロも飲み食いしないし、生物学的半減期もあるしで、もっとずっと低い値になるだろう。
 これは「俺」にとってのリスク評価なので、別に他の人に押しつける気はないし、正当性を主張する気もないが、俺は今のところ特に産地とか気にしないでバクバク喰っている。

 だがこういう議論は、暫定基準値が守られており、それ以上のものが流通していない前提での話である。

 その前提が担保できないのであれば、リスクの高いモノが流通しているという前提(だって、500Bqなのか5万Bqなのか判断が出来ないのだから)で消費行動を決定するのは不合理とは言えないだろうし、それを「風評」と切り捨てることもできないだろう。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-23 17:57 | 東電災害

「都市部での放射性物質の沈着と除去について」

Deposition and removal of radioactive substances in an urban area / Riso National Laboratory / Oct 1990

 チェルノブイリ事故後のドイツ・スカンジナビアでの調査に基づく論文。結構引用されている。この論文の引用先で引いていくと同趣旨の論文が多く見つけられる。
  • コアが完全に溶融し、原子炉格納容器から核分裂生成物が大気中に漏れ出した場合、外部被曝の主因は短期的にはヨウ素131及びそれよりは少ない程度のルテニウム、長期的にはセシウム同位体である


  • 都市部では緑化地域の汚染が一般に被曝に対し大きく寄与する


  • 様々な除染手段のコストパフォーマンスを検討したところ、緑化地域と道路の除染が比較的費用対効果が高く、優先すべきであることが示唆された。

以下、俺が読み取れたところをいくつか。真面目な翻訳ではないので興味がある向きは原文を参照して欲しい。

【5/24追記】
こちらにIAEA報告書(2006): チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復の抄訳をされているサイトがあった。内容としてはこちらの方が詳細かつ判りやすいので、こちらを参照されるとよいだろう。
  • 農村部に適用できるデータの内、都市部にも通用するものはあまりない(農村部と都市部では対策を別に考える必要がある)


  • 都市部の放射性降下物の分布パターンは、天候・土壌・放射性物質の種類(核種)によって大きく異なる


  • ヨウ素は「硬い表面」にはほとんど沈着しない。逆にセシウムとルテニウムはこれらの表面において非常に有意


  • 湿性沈着(wet deposition)の場合、降水や道路の清掃によって、最初の数日でセシウムのおよそ60%がアスファイルト・コンクリート・花崗岩の舗装面から取り除かれた


  • セシウムの乾性沈着速度は、垂直の壁に対するそれは、道路上のそれより5から10倍低い


  • 波上の屋根や芝生のようなラフな表面への沈着速度はよりいっそう高い


  • 屋内での沈着は家具などの状況によって異なる


  • 木や低木は被曝の遮蔽という意味ではあまり役に立たない


  • 放射能雲が通過している間は屋内待避により吸入被曝が顕著に減らせる

つまり、

  1. 乾性沈着の場合、庭木や茂みが主な放射線源になる。屋根は、小さな家では同じ程度重要

  2. 湿性沈着の場合、地面(庭の地面や道路表面)が主な放射線源になる。屋根は同じく重要

ということから、除染の優先度としては

■乾性沈着の場合

  1. 木や低木の刈り込み・土壌表面の除去・庭の掘削が最優先。

  2. 道路の除染が同じ程度に優先度が高い

  3. 屋根の清掃はコスト見合いで優先度が低い


■湿性沈着の場合

  1. 土壌の除去・庭の掘削が最優先


 ということのようだ。

 「都市部」とはいっても、モデルになっているのは上下水道などのインフラや共有スペースが大規模にある「大都市部」ではないようだし、西欧の「都市部」と日本の「都市部」では大分事情も違うだろうとは思う。
 日本の都市部では、広い庭が各戸にあるようなこともなかろうし、屋根の除染はコストの割に効果薄いので優先度低とされているが、日本独特の木造家屋の瓦屋根の場合どうなるんだろうとか。

だが述べられている知見は、今我々が直面している状況と良く一致していて参考になりそうなものもある。

ざっくりくみ取ると、都市部の除染を考えるのなら、
  1. 農村部などとは異なる方針で考える必要がある

  2. 重要度が高いのは「緑の多い地域」

  3. 重要度とコストによって優先度を付けるべき

といったところだろうか。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-20 12:37 | 東電災害

東葛6市、県に放射線調査を要望

東葛でも放射線量公表を…6市、県に要望 (2011年5月18日 読売新聞)
 柏、野田、流山、我孫子、鎌ヶ谷、松戸の東葛6市は17日、福島第一原発事故に伴う放射線量の測定を6市それぞれで実施し、公表することなどを求める要望書を県に提出した。

 要望書では、原発事故後、放射線量に対して関心が高まっている上、県北西部地域については、大学教授や個人の独自の測定結果がインターネットに書き込まれ、不安を抱く市民がいると指摘。現在、県は市原市のみで大気上の放射線量の測定を実施しているが、6市それぞれの市域の大気中(地表から1メートル)や保育園、幼稚園、学校等の土壌の放射線量を測定して公表することなどを求めている。

 柏市の秋山浩保市長が県庁で戸谷久子環境生活部長に要望書を手渡した。県大気保全課は「県内の市町村と意見交換しつつ、どういった方法が可能かを検討し、監視体制の充実に向けて取り組みたい」としている。
いわゆる「東葛ホットスポット仮説」への対応なんだろうな。
  • 空間線量の測定は地表1メートルで
  • 保育園、幼稚園、学校等は土壌の放射線量を計測
いずれも「安心の為には」妥当な要望と言えよう。東葛6市は我が東京都副知事より現状をはるかに正しく認識されているようだ。

 俺も再三繰り返しているが、「平時の正しい空間放射線測定」では、今の状況では「安心」に繋がらないのである。

このあたり、東大病院放射線治療チーム(team_nakagawa)のブログでもこのように述べられている。
福島訪問──その2 空間線量率測定の結果について team_nakagawa 2011/05/13
ここは山道になっており、前半は、道路の真ん中から谷側に掛けてはあまり変化せず、山側で強い値を示しました。後半は逆に谷側が強い値を示しています。観測値は、道路を横切るだけで、30%程は簡単に変化してしまうことがわかります。(確認のため電離箱線量計による追試も行い、ほぼ同様の結果を得ました)
 同位置で同種類の線量計で文科省モニタリング結果を再現する一方、映像で示したように、測る位置を少し変えただけで値が大きくふらつきます。放射線量の経時的な変化を観測する場合には、毎回同じように計測するよう注意が必要です。また、ホットスポット(線量が局所的に高い地点)の探査などを進めていく必要がありそうです。
実効線量は等価線量×組織加重係数(皮膚の組織加重係数は0.01)で見積もりますので、ベータ線による被ばくの寄与は、観測量より大分小さくなります。さらに肌の露出を避けていれば、ベータ線の影響をなくすことができます。したがって、外部被ばくを推定する場合、ガンマ線が支配的である1mの高さで計測される環境放射線量を用いるのが最も適切です。
5月15日にNHK教育で放送された「ネットワークでつくる放射能汚染地図 ~福島原発事故から2か月~」の中でも、文科省の「平常時では正しい」放射線モニタリング、即ちなるべく何もない方向に測定器を向けた時と、同じ測定器を山側に向けた時では値が大きく違う、というシーンがあった。

 東葛6市の要望が受け入れられれば、より正確なリスク評価と風評対策の一助になると思う。千葉県としても前向きに対応されたらよろしかろう。無駄にゼロリスクを求めるとコストが掛かるばかりなので、既存の知見に基づいて、優先度を付けて調べてみることが肝要と思う。

 一方、東葛6市に隣接する青木克徳区長の率いる葛飾区のホームページでは、あいかわらず新宿で計ったデータを元に、
東京都では、最新の測定結果に基づいて、「現時点においては健康に影響を与える数値ではありませんので、ご安心ください。」と発表しています。
と、まるで「我々には責任がない」と言わんばかりなのであった。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-19 14:02 | 東電災害

都税納税の妥当性を疑いつつある今日この頃。

下水処理における放射能測定結果 東京都下水道局 5/12

焼却した後の焼却灰の値(全β測定)。
 南部スラッジプラント 4月25日 15,000Bq/kg
 東部スラッジプラント 4月25日 16,000Bq/kg
 新河岸水再生センター 4月25日 24,000Bq/kg
 ちなみにそれぞれの場所は水再生センター一覧によれば、
 南部スラッジプラント:大田区城南島5-2-1 (中央卸売市場大田市場のそば)
 東部スラッジプラント:江東区新砂3-8-1 (夢の島公園のそば)
 新河岸水再生センター:板橋区新河岸3-1-1 (中央卸売市場板橋市場のそば)

浄水場発生土の放射能測定結果について ~第78報~  東京都下水道局 5/13

 4/27断面で、金町浄水場の浄水場発生土はヨウ素 2,440Bq/kg、セシウム 6,570Bq/kgであり、朝霞など他の浄水場と比較するとかなり高い。また時系列で見ると、4/14に計った値より4/27の方が、セシウムに関しては朝霞を除いて増えている(ヨウ素は減衰分もあるだろうから、量としては単純な比較は出来ないだろう)。

ということは、今も水流と共に放射性物質が移動していることを疑わせる。

上水道-下水道とも汚泥に関しては、おそらく設備によってかなり違うだろうが、一般的に、沈殿→脱水→焼却 という形になっているだろうから、
  1. 上ずみ水でどのくらい上水化・下水なら放流された(されている)のか
  2. 焼却による再飛散の状況
  3. 処理経路上の汚染の状況
あたりが気になる。

1に関しては、公表値を信じるなら、4/26以降、新宿の蛇口のところではセシウムは0.2Bq/kg未満ということになるので、既存の沈殿処理によって多くがキャッチされていることが期待できるのかもしれない。

2に関しては、根拠になるような数字が見あたらないので、よくわからない。
南部スラッジプラントの資料だと「脱水汚泥(高分子系凝集剤を添加したもの)を約850℃で瞬時に焼却」・「脱水汚泥と比べて重量比で約4.5%の灰に減量化」とあった。
元の脱水汚泥の汚染度が判れば、焼却によってどれぐらい濃縮されているのか=どれくらい濃縮されなかった=排ガスに混入したのかの見積もりができそうな気もするのだが(仮に減容率は100:4.5=22倍だとすると、24000/22で、汚泥が1091Bq/kgなら収支があう。上水道の汚泥と比べるとこの数字はちょっと低すぎるような気がする)

 ひとつの参考として、福島県の下水道の終末処理場等における環境放射線モニタリング調査結果 〔(5月2日~4日)調査分〕について (PDF:155KB)(23.5.8更新)会津若松市下水浄化工場での測定結果(5月3日調査)をみると、汚泥焼却施設の敷地内から再飛散はしていないようにみえるが、敷地内の線量の最大値と最小値にけっこう幅があるのが気にかかる。単なる測定上のぶれなら良いのだが、気化したセシウムが空気中を漂っているから測定値がバラつくという可能性はないのだろうか。

 俺の認識が正しければ東京都の焼却施設の煙突というのはかなり高いはずである。上の東京都下水道局の資料に依れば、東部スラッジプラントの煙突は150mだそうだ。 万が一排ガスに気化したセシウムが高濃度で混ざっていたとしたら、かなり遠方まで散る可能性は無いのだろうか。

既存の排ガスの冷却-フィルタなどで、ある程度キャッチできていることを期待してやまない。

 さて、こういう場合、インプットとアウトプットの調査を網羅的に行う(どれだけ入ってどれだけ出たか)のが基本だと思うのだが、汚泥や焼却灰というアウトプットはあるのに、「排ガス」に関しては触れられていないのは何故なのだろう。

 東京都下水道局のページにはこんな記述がある。
平成23年5月12日に原子力災害対策本部が『「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」について』を公表したことを受け、以下のとおりこれまでの測定結果をお知らせします。

(参考)
原子力災害対策本部が示した、平成23年5月12日付け『「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」について』によると、「脱水汚泥のうち、10万Bq/kgを超える物など測定された放射能濃度が比較的高いものについては、可能な限り、県内で焼却・溶融等の減容化処理を行った上で適切に保管することが望ましい。なお、焼却灰については飛散防止のため、容器に封入する等の措置が必要である。」とされています。
と記載されている。

 つまり、
  • 測定されている値が全部すぐに公表されるわけではない
  • 汚泥は今まで通り焼却処分する=燃やした残りが高汚染だったら保管
ということであろう。

 まさか「排ガス」に関する基準・方針がないので、調べているけれども発表してないんじゃなかろうな、と邪推してしまう。元資料である福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方についてを見ても焼却処理に伴う一方の生成物である灰に関する言及はあるが、排ガスに関する直接の言及はないようだ。

朝日新聞5/15付け朝刊に近畿大山崎秀夫教授(環境解析学)が行った首都圏の土壌のセシウム濃度の調査が載っていた。(Bq/kg)
東京都千代田区二重橋横       1904 4月10日
東京都千代田区皇居東御苑天守閣跡  1311 4月10日
東京都中央区築地          1147 4月10日
東京都江東区亀戸          3201 4月16日
埼玉県朝霞市荒川土手         484 4月10日
千葉県千葉市千葉モノレール天台駅前 1327 4月11日
千葉県千葉市JR千葉駅前        358 4月14日
千葉県館山市             127 4月20日
茨城県神栖市             455 4月20日
福島県福島市光が丘         27650 3月19日
 同記事によると、東京都は未だに土壌汚染に関しては調査していないのだそうだ。

 東京都に対して税金を納めていることの妥当性を疑いつつある今日この頃である。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-16 13:00 | 東電災害

東京の下水汚泥。案の定汚染。

#過去記事に追記してたのだが、別立てにしておこう。

都内でも汚泥焼却灰から放射性物質 5/12産経
 東京都は12日、都内の下水処理施設「新河岸水再生センター」(板橋区)で先月25日に採取した汚泥の焼却灰から、2万4千ベクレルの放射性物質を検出したと発表した。

 都の調査結果ではほかに、東部スラッジプラント(江東区)で1万6千ベクレル、南部スラッジプラント(大田区)で1万5千ベクレルの放射性物質が、下水汚泥から検出された。

 4月下旬から今月初旬にかけて、福島県に隣接する各県の汚泥から高濃度の放射性セシウムが検出されているが、東京都は詳細な測定を行っていないため、放射性物質の総量を測る「全β放射能」の測定結果だけを発表した。


 …というのが昨日の記事。
 …で、今日になって。

 実は先々月の汚泥は17万ベクレル/kqだったんだ。でももう燃やしちゃって再利用しちゃったんだよね。テヘ。

汚泥の焼却灰から高濃度の放射性物質 東京 日本テレビ 2011年5月13日 15:48
東京都の下水処理施設から出た汚泥の焼却灰から、一キロあたり17万ベクレルという高濃度の放射性物質が検出されていたことが日本テレビの取材でわかった。

 東京都によると、江東区の下水処理施設「東部スラッジプラント」で3月25日に採取した汚泥の焼却灰から、一キロあたり17万ベクレルの放射性物質が検出されていた。同じ時期に採取した別の2つの施設の焼却灰からも、一キロあたり10万ベクレル以上検出されていたという。これらの焼却灰は、すでにセメントや建築資材などに再利用されている。

 国は、12日になって福島県に対しては一キロあたり10万ベクレルを超える汚泥は県内で焼却するなどした上で、焼却灰は容器に入れて保管すべきとの指針を出したが、福島県以外に対する基準は現在もない。
3/25といえば例の大量降下の直後だ。それを再利用しちゃったと。

「豊洲が高め」という話は前からあって、Reporting Radiation Levels from Tokyo, Japan 放射能、放射線量報告ブログ (Atomさん) のような先見の明がある人は、
1)一般的に都内の2−3倍の線量である。 
2)東部スラッジプラントがすこし怪しい。 稼働は不明だが、風下で高線量を計測。 東京都は、プラントからの排出放射能を管理しているのだろうか? 「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」で定義された管理区域に該当しないのだろうか?
3)検出最高が砂町水再生センター植込みで、0.46uSv/h.
既に指摘していたというのに。

 まあどうぜ「10万ベクレル/キロくらいならコンクリと混ぜて薄まるから大丈夫」みたいな話になるんだろうが、何かある毎に「たぶん薄まる」という希望的観測と「基準」の方を弄るという手法がいつまで使えるのかな。

 ちなみに「基準がない」というフレーズはよく聞くんだけど、これ「基準がないから、いつも通りに処理しちゃいました。ウチに責任はないです。だって基準がないんだから普段通りに扱って悪くないでしょ?」というエクスキューズに聞こえるんだが。

幻聴かねぇ。

東部スラッジプラントの解説ページに汚泥の処理フローがある。
なんども言ってるが、この経路は全部調べてみた方がいいと思うぞ。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-13 19:03 | 東電災害

東京都副知事もズレている。

新宿の健康安全研究センターに確認に行く。風評被害を防ぐため。 猪瀬直樹Blog 2011/04/26
「地上20メートルの計測はおかしい。計測値の低いところだけで計っている」とか「地面近くの子供の背丈ぐらいのところでなぜ計測しないのか」など俗説がツイッター上で流されている。生半可な知識で専門性を否定する風評は許されない。
俺はツイッターやってないが、生半可な知識の持ち主-どころか、まったくの素人-であることは自覚している。 であるのにこの話題を書き散らしている。

まさに猪瀬副知事いわくの「風評加害者」なのかもしれない。

 だが、この副知事の記事で「安心できた」人がどのくらいいるのか?
テルテル坊主のようなものがある。モニタリングポスト検出器だ。放射線はアルミのカバーを通り抜け、内部のヨウ化ナトリウムの結晶にぶつかり光を発する。下の太い部分には光の量や強さを数値化する器械が入っている。

テルテル坊主の高さは1メートル80センチである。地面であっても、屋上の床の上であっても同じ高さである。
(中略)
 なぜ屋上か。1メートル80センチか。

 放射線は、地面や建築物からも放出されているため、より正確に放射線量を検出するためには、検出器の設置場所は慎重に決定する必要がある。センターでは近隣に高層建物が隣接していない住宅街側の屋上に設置した。モニタリングポストの検出地点は、地面から発せられる放射線の影響を受けにくくするため1メートル80センチで測定するという基準があるのだ。
 「より正確に」というのは平時の空間線量の話であればまさにその通り。 だが、今が平時の状態だろうか?
  • 例えばどこぞの国の核実験の影響のように、広い範囲にまんべんなく影響がでているのならこの調査でもいい。だが、現在の状態はこれとは全く異なる。
    様々な観測から、放射性物質の拡散と降下はまだらに起こっていることが強く示唆される。新宿百人町の空間線量の観測結果が621平方キロの東京23区のすべてのリスク評価を「正確に」代表していると何故言えるのか。その根拠が副知事のBlog記事からは読み取れない。

  • 「正確」に計るというのは、副知事の言にあるように「地面から発せられる放射線の影響を受けにくくするため」である。つまり、<雑音>を抜いた値だ。生活している人間が浴びるのはこの<雑音>を含んだ値だ。「正確に」というのは誰にとっての「正確」なのか? 周りにビルがない、地上18メートルの屋上で生活し続けている人?

 いささか危険厨みたいな物言いになってしまったが、俺も放射線による直接的な「健康被害」に関しては、原発が今の状態で推移する前提なら、東京都の殆どの場所では問題にはならないだろうと思っている。

 だが、いまや放射線による直接的な「健康被害」だけがリスクではないのである。不安・ストレスによる「健康被害」や経済的損失まで考えないといけない段階だ。

副知事の記事で違和感を禁じ得ないのは、
「地上20メートルの計測はおかしい。計測値の低いところだけで計っている」とか「地面近くの子供の背丈ぐらいのところでなぜ計測しないのか」など俗説がツイッター上で流されている。生半可な知識で専門性を否定する風評は許されない。
という、記事の出だしの部分だ。

 これは<俗説>ではなくて、<疑問>である。

 作家の顔も持つ副知事はもう少し言葉のセンスがあってしかるべきと思うのだが、要するにこの一文から、疑問の声はすべて『俗説』・『風評』=『悪』であるという前提があることが透けてみえる。そこから話が始まっているから、柏市役所と同じように『かみ合ってない』のである。

 「危険であるかないか」という問題と「不安であるかないか」という問題は別なのである。「安全」だけではなく「安心」も問題なのである。
 猪瀬副知事が問題にしているのは「安全」の観点だけだが、後者は今や、少なからぬ人々にとって前者に劣らない大きさの問題であり、「風評」の根っこはむしろそっちだ、ということだ。

 猪瀬副知事が本当に「俗説」や「風評」を何とかしたいのであれば、もっと納得の出来る調査結果を公表し、「不安」の解消に努めることが肝要と思う。

 本当に不思議でならないのだが、東京都でも区でも良いのだが、持ち運べる簡易型のサーベイメータで「ヤバそうなポイント」を選択的に調べてみて、もしも「ホントにヤバそうなところ」があったら、より「正確な調査」をする、という程度のことが何故出来ないのか。

 都市排水の溜まりやすいところ、公園などの土壌・芝生といったCsが滞留しやすいところ、他検査機関の観測からどうみても相対的に空間線量が高そうな地域など、「ヤバそうなポイント」の知見はすでに得られてきている。
 例えば、今やホットな話題である下水道汚泥の調査。東京都からは未だに何の発表もない。
 賭けてもいいが、東京都下水道局の所管からも検出されるはずだ。これは猪瀬副知事とて合意できることだろう。問題は「どのくらい検出されるか・汚染は実際にどのくらいなのか」がまったくわからないという点である。

 「カガク的に正確な」値を求めるのは後でいいので、多少不正確でもよいから「ヤバそうなところ」の色分けぐらいの調査は、不安解消のために進めるべきなのではないか。

 核種分析まで全部やって、「正確な値」を得ないと何も手が打てないわけでもあるまい。簡易サーベイで万が一「これはちょっと」という値が出たら、例えば立ち入り制限などの措置をとりあえず取っておき、そこを重点調査、で何が悪いのか。

 この程度のこと、そんなにバカなコストがかかるとも思えないのだが。

 猪瀬副知事は「風評」の一言で切って捨てているが、「風評」が収まらないのは、「不安」を鎮めるだけの調査が行えない(行わない?)自治体の責任なのである。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-11 18:41 | 東電災害