カテゴリ:奇妙な論理( 56 )

「お前が言うな」

【天声人語】朝日新聞 2006年01月26日(木曜日)付
 原民主党代表が23日の国会で、自民党は堀江貴文ライブドア前社長を「衆院選の票寄せパンダ」に使ったとただした。小泉首相は、捜査と選挙の応援とは別の問題だと答えた。その夜、堀江前社長が逮捕された。翌日になると、首相は「不明だと言われれば、それまでですけどね」と述べた。

 ところが、この一言ではとどまらなかった。「あのメディアの持ち上げ方、何ですか。自分の持ち上げ方を棚にあげて、改革まで私の責任と批判している」

 昨日のこの欄では、「マスコミはどうですか。すごく持ち上げたじゃないですか」という公明党の幹部の発言について、こう書いた。「すんなりうなずくつもりはないが、取材相手との距離をどう取るか、メディアは常に問われている」

 目に余るような持ち上げ方をしたかどうかは、それぞれのメディアが自らの責任で省みることだ。教訓とすべきものもあるだろう。しかし「ホリエモン人気」を票集めの広告塔や「刺客」として利用したその党の総裁が、メディアの方に矛先を向けたのには少々驚いた。それこそが「棚にあげて」ではないだろうか。

 見過ごせないのは、自民党が一方的に「ホリエモン」を利用したのではないことだ。ライブドアの側も、自民党という巨大な後ろ盾を、「世界一」の会社に膨らませるために利用しようとしたはずだ。それはまるで、票と金を狙う共演に見えた。

 首相には、問題を追及された時に、ちゃんと説明せず口をつぐんでしまう傾向があるようだ。今回も責任の転嫁で終わってしまうのだろうか。


『昨日のこの欄では、「マスコミはどうですか。すごく持ち上げたじゃないですか」という公明党の幹部の発言について、こう書いた。「すんなりうなずくつもりはないが、取材相手との距離をどう取るか、メディアは常に問われている」』

 と書いてあるので、「ほほう。朝日はちゃんと自己総括しておるというわけだな。どれどれ」と、前日の天声人語を見てみたら。
自民党が堀江社長を総選挙に担ぎ出し応援したことにからんで、公明党の冬柴幹事長が述べたという。「マスコミはどうですか。すごく持ち上げたじゃないですか」。すんなりうなずくつもりはない。しかし、取材相手との距離をどう取るのかは、常にメディアが問われることではある。

 耳目を集める「寵児」に、安易に飛びつくようなことがなかったかどうか。改めて考えてみたい。
 以上、本文終わり。

 …あの~、その「改めて考えて」みた結果はどこに書いてあるんでしょうか?

 こういうのは、「思考停止」文言つって、悪文の代名詞だと思うんですがね。「改めて考えてみたい。以上」で、全然考えてないのでは…。

端的に言えば、「お前がいうな」ってところである。

問)ライブドアの堀江貴文社長が逮捕されましたが、この事件についての受け止めは。

(外務大臣)マスコミも随分はやしてましたものね。一番煽っておられた貴紙の感想はどうですか。こっちの方が先に聞いてみたいような気持ちですけどね。法律に違反すれば罰せられる。当然だと思いますけど。
 実際のところこの「貴社」というのは朝日新聞社のことである。朝日新聞は少なくとも麻生外務大臣のこのイヤミには、思考停止的な文言ではなく答える義務があると思う。なぜなら、俺を含めて多くの国民が、おそらく朝日を含めたマスコミのこの問題に関する「手のひら返し」を鼻白んでみているに違いないからだ。

 つまるところ、天声人語をこのように書き換えてもまったく違和感がないのである。
 しかし「ホリエモン人気」を読者や視聴率集めの広告塔として利用したメディアが、政党に矛先を向けたのには少々驚いた。それこそが「棚にあげて」ではないだろうか。

 見過ごせないのは、ホリエモンが一方的に「マスコミ」を利用したのではないことだ。マスコミの側も、ホリエモンという偶像を利用しようとしたはずだ。それはまるで、視聴率と金を狙う共演に見えた。

 朝日新聞には、問題を追及された時に、ちゃんと説明せず口をつぐんでしまう傾向があるようだ。今回も責任の転嫁で終わってしまうのだろうか。

------------------1/30追記
発信箱:どのツラ下げて… 山田孝男(編集局) 毎日新聞 2006年1月30日 0時13分
 毎日新聞西部本社(北九州市)が発行した1945年8月16日付朝刊は1面の一部と2面が真っ白だった。当時の新聞は表裏2ページしかない。前日まで焦土決戦をあおった揚げ句、「国民も今日から転換するのだなどと、どのツラ下げて言えた義理か」という高杉孝二郎編集局長の判断で終戦勅語と行政告示しか載せなかった。彼はまもなく社を去った(毎日新聞130年史)。

 検察の尻馬に乗った鈴木宗男バッシングを競いながら、今や彼を評論家としてもてはやすメディア。前日までホリエモンをもてはやしながら、検察次第で怒とうの堀江たたきに走るメディア。むかし軍部追従、いま検察追従で、変わらぬものといえば俗論迎合の卑しさしかないおまえが、どのツラ下げて明日を語り、針路を説くのか。そう感じている読者が少なくないと思う。

 小泉純一郎首相はホリエモン選挙に肩入れした責任を問われて「批判は甘んじて受けるが、メディアはどうなのか」と切り返した。「新聞批判は甘んじて受けるが、テレビ、週刊誌こそ」と言ってしまいがちな私どもと似ている。

 いまや政治に対する観察者、批判者であるという以上に、政治権力を生み出す装置となった感のあるメディア。その無節操な暴走癖、過剰な存在感・圧迫感と加害性を省みず、「悪いのはオレではない」と逃げ腰の醜さが読者の失望を誘っているようだ。どうにも旗色が悪いが、毎日新聞は署名記事を原則にしている。だから許せとは言わない。白紙の新聞を出す予定はないが、それを出した先達の存在を肝に銘じて進みたい。
 まともな感性の人もいるようだな(笑) もっとも、小泉首相を引き合いに出した三段落目は余分だが。「似ている」から何だというのか。「俺たちだけじゃないよな」という繰言はいい加減にしてもらいたいものだ。
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by SIGNAL-9 | 2006-01-27 17:09 | 奇妙な論理

ファンとホリエモンと認知的不協和

 1920年アメリカ大リーグで発覚した八百長事件、いわゆる「ブラックソックス・スキャンダル」で、法廷に引き出された人気選手シューレス・ジョーにファンの少年が投げかけたとされる「嘘だといってよ、ジョー」という有名なせりふを思い出した。

 ひとつは韓国の論文捏造問題で、である。

変わらぬ黄教授支持者、彼らはなぜ… 中央日報 2006.01.23
「あなた1人さえ埋葬されればよいというその群集と最後まで争って勝つでしょう」--。

21日午後6時、ソウル光化門(クァンファムン)前の開かれた市民広場。

全国から集まった黄禹錫(ファン・ウソク)教授支持者2500人が、太極旗を振りながら「研究再開」「特許守護」などと声を上げていた。

ある女性は「国のために働いたあなたの手/愛情にあふれています/あなたの手に背く者/偽りを言う者/死ぬでしょう」と、献呈詩を朗読した。

在米科学者として紹介されたチョ某さんが壇上に上がり「卵子供与など消耗的な倫理論争を中断し、われわれの生存権を得よう」と叫んだ。割れんばかりの拍手が響いた。

この日のキャンドル集会は「アイラブ黄禹錫」「韓国せき髄障害者協会」など5団体で構成された「黄禹錫研究再開国民連合」が主催したイベントだ。黄教授と何の関係もなく自発的に参加した一般市民たちもかなり多くいた。
 日本で言うと全盛期の長嶋茂雄が殺人事件起こしたくらいの感じかねぇ(笑)。まあ、俺も長嶋茂雄原理主義者なので、もしもそんなことがあったら「ナガシマだったら殺人くらいイイじゃん」とかいっちゃいそうだが。
 ナガシマさんを引き合いに出すなんて不敬だ!といわれそうだが、そのナガシマに対する熱い思いを数倍に増幅すると、陰謀論にまで突入しているファン教授擁護者たちの「感情」に近いのかもしれないな。

 もうひとつが、ライブドアショックを巡る、livedoor社長日記のコメントだ。

 まあ、こちらのほうは悪口雑言罵詈讒謗毀誉褒貶揶揄嘲笑各種含めたゴッタ煮であるが、「堀江さんは絶対悪くない!!」「俺はライブドア信じてるぞ~!!」といった盲目的ラブコールや、それと相対する「氏ね」だの「とっととくたばれ糞豚!」だのといった盲目的罵倒をみるにつけ、黄教授のケースもホリエモンのケースも、「嘘だと言ってよ」すら突き抜けて、認知的不協和理論のサンプルとして使えそうな反応が観察できるところが非常に興味深い。

 ひとつの認知の逆の側面が別の認知によってもたらされる状態になると、人は不快感を感じる。その不快を解消するには、大きくわければ;

1:認知の方を変える。
 ソウル大学捏造確認→ソウル大学は陰謀を企んでいる
 守旧派の陰謀だ。自民党の耐震偽装矮小化工作だ

2:新たな協和できる情報を集める
 他にもノーベル賞候補になりうる優秀な研究者がいる
 欧米のマスコミではホリエモン擁護派もいる

3:問題の重要度を低くする
 日本にだって「ゴッドハンド事件」があったじゃないか。他の国だって科学者の捏造なんかいくらでも…
 粉飾決算なんてどこの企業でもやってる

 「世界は○月×日に破滅する」なんて予言を信じてしまい、行くとことまで行ってしまうと、いざそれが外れた時にでも、もはや引き返せない→ますますのめり込むつーパターンがあるそうで、アツくなっている人たちにとっては、おそらくもう、ES細胞が股火鉢とか粉飾決算が蜂の頭だとかはどーでもいいのであろう。

 韓国の例で言えば、当の黄教授自身が「世界生命工学の高地に太極旗を立てた」だの「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」だの、ナショナリズムを煽るような発言で人気を獲得してきたわけだ(後の方はパスツールか誰かの盗作のような気もするが)。マスコミ・企業・政府まで一丸となって物心両面でそれを後押ししてきたわけであるから、韓国内では「科学」なんてどーでもいいところで騒ぎでかくなっているわけである。

 ライブドアの方も似たようなもので、先日までホリエモンホリエモンと客寄せパンダ扱いしていたテレビメディアが手のひらを返して非難に回るというのは、節操のある態度とは思えない。まあ、当のホリエモン側にしてもそういうメディアを今までさんざん利用してきたわけであるからいまさらマスコミ批判もできなかろうが。

 どちらの事件も捜査中だし、黄教授もホリエモンも実際上無罪を訴えているわけであるから、これからどう転がっていくのかまだ分からないが、少なくとも戦場はもはや「事実関係」の領域だけではない、ということになるのだろうな。
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by SIGNAL-9 | 2006-01-23 13:35 | 奇妙な論理

「ニセ科学」とどう向き合っていくか? (「物理と社会」分科シンポジウム)

物理学会でのシンポジウム開催のおしらせ
2006年3月に愛媛大学・松山大学で開催される第六十一回物理学会年次大会において、「ニセ科学」をテーマにしたシンポジウムをおこないます。
ここで「ニセ科学」とは、(科学と擬似科学の境界付近にある位置づけの微妙な営みのことではなく)科学的に誤り(ないしは無意味)であることが明白であるにもかかわらず表面上は科学を装っている営みを指します。「ニセ科学」は、物理学の研究にはほとんど何の影響もないでしょうが、広い意味での科学教育を考えたとき強い影響力をもつおそれがあると考えています。

このシンポジウムでは、いくつかの典型的な「ニセ科学」の事例を紹介していただきながら、私たち物理学者が「ニセ科学」とどう向き合っていけばよいのかを考えるきっかけを作りたいと思っています。多くの方のご参加を歓迎いたします。

田崎晴明(シンポジウム提案者)
 プログラムを見ると、講演者は 菊池誠氏 天羽優子氏 池内了氏 という豪華メンバー。
 俺も菊池氏や池内氏の一般向け書籍はおもしろく読んだし、天羽氏の水商売ウォッチングはいわずとしれた有名コンテンツ。 ちょっと見に行きたいなぁ。

 最近とみに思うのだが、 メディア-特にテレビのオカルト臭い番組は酷い。モロオカルトは当然だが、科学モドキの「情報番組」のタグイは特に罪が重い。

 いや、もちろん俺はブツリガクとかトーケーガクとか、そーゆータグイのものは「よきにはからえ」の世界に追いやって生きてきた人間で、専門知識などは皆無なのだが、「いくらなんでも、ちょっと考えりゃあ理屈としておかしいだろ」とか「ちょっと調べりゃあ怪しげな話だってわかるだろうが」というレベルの、俺みたいな馬鹿でもツッコめるような話が多すぎるのだ。

 俺みたいな馬鹿が馬鹿にできるということは、相当なスーパー馬鹿が作っている番組なんであろう。
 いや、「ちょっと考えりゃ」「ちょっと調べりゃ」というところがミソで、おそらく作ってる連中も怪しげな話であることは先刻承知で流布に励んでいるということなのか。もしかしたら一億総白痴化を目指す悪の秘密結社かなんかの陰謀なのではないか。こーゆー番組のスポンサーになってる企業は死ね死ね団なのではないか(笑)

 まあ、そんなシロモノを信じてしまうウルトラ馬鹿はそう数は多くないだろうが、怪しげな性格判断だのわけわかんない占い師だの、まさに「科学的根拠不明のマイナスイオンで胸がいっぱいだよ!」((c)田丸浩史)という状況の昨今のテレビメディアの酷さを見るにつけ、「こいつらオウム事件から何の教訓も得てないのな」という思いを強くしている。

 こういうものは「娯楽だから」などといって大目に見てはいかんのだ。

地下鉄サリン事件で、もう少しで被害者になるところだった俺としては本気でそう思うのである。
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by SIGNAL-9 | 2006-01-06 14:51 | 奇妙な論理

黄流熱風

ES細胞疑惑、残り2株も偽物 2005年12月26日11時11分 読売新聞
 【ソウル=中村勇一郎】韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授が論文をねつ造していた問題で、複数の韓国メディアは26日、ソウル大の調査委員会が鑑定中の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)2株についても偽物との判定を下し、患者組織から作製したとしていたES細胞は存在しなかったとの結論に達したと報じた。

 黄教授は今年5~6月に米科学誌「サイエンス」に掲載された論文で、クローン技術を使って患者組織から11株のES細胞を作製したとしていたが、9株については偽物だったり存在していなかったりしたことがすでに明らかになっており、調査委は残り2株について外部機関にDNA鑑定を依頼していた。

 鑑定の結果、2株も体細胞を提供した患者のDNAと一致しないことが判明し、調査委は共同研究者が経営する病院で冷凍保存されていた細胞と判断したという。
 激震が続いている韓国であるが、これで「詰み」だろうか。

 この分では最後の拠り所「論文は捏造だけど技術はあるもん」も、かな~り暗雲が立ち込めている気がする。

 米欧巻き込んだ事件の規模からいっても、黄禹錫ひとりに責任をおっかぶせて袋叩きで終了というわけにはいくまい。
 国を挙げて支援し、財界・マスメディアをはじめ多数の韓国国民が形の上ではこの詐欺的行為に加担してきたとすら、海外からは見えるわけであるから。

 疑惑を報じたテレビ番組が潰されただの、疑惑報道は国益に反するとまでの意見が出ただの、他所の国の事ながら顎が外れそうな気がしたが、国を挙げてそこまで突っ走ったツケはきちんと清算しておかないと、「もともとウソまみれの国なんじゃないの」といった悪口に裏づけを与えかねない。

 少なくとも既に欧米メディアの一部で、韓国の国家体制とか民族性とリンクさせた論調が登場してきており、過去の韓国産の論文の検証を進める動きも出ているのは事実であり、きっちりと対処しないと、韓国科学界には「痛手」という言葉では足りないほどの大打撃となるかもしれない。

 ま、がんばってくれ。

画像はNAVERでの拾い物。
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by SIGNAL-9 | 2005-12-26 12:30 | 奇妙な論理

「異議あり匿名社会」キャンペーンに再び

 9月の集中豪雨で床上浸水の被害を受けた東京都中野区の約800世帯について、税の減免や受信料免除が受けられるよう、同区の担当課長が住所と氏名を都税事務所とNHKに提供したところ、「個人情報保護条例に違反した」として、今月24日付で訓告処分を受けていたことが分かった。都や指揮者からは疑問や批判の声が上がっている
読売新聞は、一連の「異議あり匿名社会」キャンペーンの一環で、29日朝刊でこのような「問題」を取り上げた。

元記事は残念ながらオンラインでは読めないようだが、紙面を読んで、俺はあいかわらず首を傾げてしまったのである。
ところが、受信料免除の申請書をNHKから送られた一部住民が「個人情報が勝手に提供されている」と苦情を寄せたことなどを機に、区議会で問題化
 あえて意地悪く取ると、けっきょく区民の苦情が元になっているわけである。「苦情が発生した時点でアウトじゃないのか」という見方もできる。少なくとも、「そういうことはイヤ!」といった人がいるわけだ。
 個人情報をそれぐらいセンシティブに、厳格に扱ってもらいたいというニーズがあることも見つめなければならない事実だと思うのだが、読売の記事は、処分はあくまでも批判されるべき「過剰反応」である、という立ち位置である。ちなみにその翌日も、この記事に対して肯定的な、すなわち処分は不当だとする読者の電話が寄せられた旨記事にされている。

 公平のために記しておかなければならないが、31日付夕刊では、当該記事に対する中野区側(田中大輔区長)の反論もいちおう掲載されている。また、俺が数日前に疑問を呈しておいた「異議あり匿名社会」キャンペーン自体が無署名記事ー匿名ーで行われている点も、29日付け解説面で社会部の小松夏樹氏の署名・顔写真付の記事として纏められており、読売新聞の姿勢は評価できると思う。

 ところが、他のソースも当たってみると、この読売の立ち位置そのものに疑問が生じるのである。渋谷区議会議員のおかの雄太氏のBlogにはこのような記事がある。
*この記事を書いた後、中野の区議会議員に事情をお聞きしました!
杉並では、NHKや都税事務所からの通知を、区役所の封筒に入れて、各世帯に送ったようで、名簿に関しては提供しておらず、中野では何故、杉並のような対応をしなかったのかという議論が、区議会であったようです。
またNHKは、受信料を減免するに当たっての通知に、「今後広報などで通知をする場合があります。」というような文言が入っており、名簿がどのように使われるのか(不払いの請求?)という不安が、住民にもあったようです。

この件に関し、中野の区議会議員の方は、新聞記事を、もう少し詳細に書くよう抗議したいと言ってました!
 読売紙上の中野区側からの反論にも、必要のない人の名簿まで提供してしまったとの発言もある。 
 中野区の豪雨被害につけこんで、国交省を名乗った悪徳業者が暗躍していたという話もあった。そのような事情を考えると、被害住民の情報の扱いが不適切だったという批判自体が間違いとする立場には一概には組できないのではなかろうか?
 役所の業務として不適切なやり方だった-少なくとももっと適切なやり方があった-という認識と反省に基づき粛々と処分を行ったことが、これほどに批判されなきゃいけないようなことなのか。「善意」に基づけば手段が「間違って」いても批判されるべきではない?

 社会部小松氏の解説記事は(個人情報保護法の)「全面施行から間もない混乱の中で、「とにかく提供しなければ責任を問われない」という「事なかれ主義」が横行している」と断じ、自治体・公務員の情報非開示にフォーカスした論旨である。この辺の論調に関しては、俺も「まあ、そういうことはあるだろうな」と思う。ただ、それがおしなべて「悪いこと」なのかどうか、という判断に関してはいまだ留保せざるを得ない。

 早い話が、読売のキャンペーンは俺にとってはまだ「説得力に欠ける」のである。

 以前にも書いたが、結局のところ「匿名社会」と読売が定義している<もの>がいったい何なのか、それがいまひとつはっきりとしない。
 公務員の責任逃れのための情報隠し=「匿名社会」なのだろうか? だとしたら、そんな大仰なネーミングで取り上げる大問題なのか? 「異議あり匿名社会」というからにはむしろ、「一部住民が「個人情報が勝手に提供されている」と苦情を寄せたこと」を掘り下げて考えるべきなのではないのか。
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by SIGNAL-9 | 2005-11-01 10:21 | 奇妙な論理

読売「異議あり匿名社会」キャンペーンに思う

 過去二度ばかり言及したが、読売新聞が「異議あり匿名社会」というキャンペーンを展開中だ。不定期掲載ではあるが、10/16付けの紙面などでは、一面トップ記事扱いであった。力を入れているのであろう。

 このキャンペーン記事に対する現時点での俺の評価、「エピソードを書き連ねても説得力がない」ということは以前にも書いたので、ここでは再度取り上げない。

 読売のキャンペーンのスタンスは、10月15日付けの社説から読み取れる;
 個人情報保護法の完全施行に伴い、行政、医療、教育などの現場では、過剰反応とも言える情報の“出し渋り”が始まっている。

 懸念されるのは、公的機関が公共性の高い、社会で共有すべき情報まで公表を控えるようになったことだ。記者は真実に近づくために、これまでの何倍もの努力を強いられている。
 ここでは官公庁や病院などの公的・準公的機関の出し渋りの問題点に注力しているように書いてあるが、「異議あり匿名社会」キャンペーンでは、「個人」の出し渋りの問題も取り上げられており、それらを纏めて「匿名社会」と呼称している様である。

 俺がこのキャンペーンに決定的に欠落していると感じるのは、キャンペーンを展開している報道機関自らを省みる視点である。
記者は真実に近づくために、これまでの何倍もの努力を強いられている。
 この文言にあえて難癖をつけるが、努力が強いられているのなら努力すればいいじゃん?

 それとも何ですか、マスコミだけは特権階級だから別扱いしろとでも?
 そもそもある情報が「公共性の高い、社会で共有すべき情報」である、というのは誰が決めるのか?
 「俺たちマスコミ」が基準なのか?
 その「共有すべき情報」の定義-社会的合意-が困難だから、予防措置的に多少「過剰な」反応があるのではないか、といった視点は必要ないのだろうか。

 マスコミのこういう物言いには「俺たちは正しいんだから」的驕慢さを感じてしまうのである。
 そもそも個人情報の保護がこれだけ重要視されるようになった一因には、無意味な個人情報報道による報道被害もあったとは思わないのだろうか?

 この種の驕慢さは、毎日新聞の2005年10月23日付社説「犯罪被害者 匿名は不正も痛みも隠し込む」ではより顕著である。
 考えてみてほしい。被害者名が判明しないと、メディアは被害の事実について確認する手立てを失う。現在は担当記者が警察発表をもとに裏付けのため、被害者本人や周辺から取材、検証し、確認が得られてから報道している。仮名、匿名による警察発表が許されれば、極論すれば、警察の情報が虚偽や架空であってもメディア側は鵜呑(うの)みにするか、報道を断念せざるを得なくなる。もちろん今の警察がメディアを意図的に誤誘導するとは思わない。だが、戦前の特高警察の歴史を思い起こすまでもなく、メディアによる監視や活動の公開が不十分になれば、警察という権力機関が暴走しないと言い切れるだろうか。

鵜呑みか断念か。無茶な二分法である。
ようするに毎日新聞社は単なる警察の広報組織だ、というわけか(笑)

 最近のマスコミをめぐる様々な問題を通してみると、「俺らで調べるのがメンドくさいから警察はちゃんと発表するように」、どう読んでも自らの仕事における怠慢を、他人のせいにしているようにしか見えないのである。

 隗より始めよ、という言葉がある。まずはマスコミが署名記事の充実や、犯罪報道での加害者隠し・身内かばいの報道姿勢の問題など、自らの前に山積する問題に手をつけるのが先なのではあるまいか。

 笑ってしまうのは、「匿名社会がダメだダメだ」といっている読売のキャンペーン記事自体が無署名記事だってことなんだが
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by SIGNAL-9 | 2005-10-24 18:23 | 奇妙な論理

「のまネコ」報道でちょっと思ったこと。

話題の「のまネコ」問題であるが、まだ進行中でもあるし、正直なところ

エイベックス、かっこ悪い(悪)

という感想以外特にない。

 もっとも、この件でちょっとおもしろいのは、ネット発ということで、問題の進捗がほぼオープンにトレースできることである。全国紙各紙が取り上げたのは9/30のエイベックスの(稚拙な)一方的撤退宣言が出てからだが、ネット越しに見るとはなしに見ていただけの俺みたいな半可通の人間から見ても、「おいおい、そりゃあちょっと『事実』と違うんじゃないの?」と思われるような報道がある。

 一例として読売新聞の2005年9月30日付(本紙では10月1日朝刊)の記事を見てみよう。
「のまネコ」商標登録出願取りやめ…「モナー」に酷似

 エイベックスは30日、同社が発売中の楽曲「恋のマイアヒ」の宣伝などに使われている猫のキャラクター「のまネコ」について、図形商標の登録出願中止を、著作権を持つ会社に申し入れたと発表した。

 「恋のマイアヒ」は、モルドバ共和国出身の3人組「O―ZONE」のヒット曲。歌詞が「飲ま飲まイェイ」など日本語に聞こえることから評判となり、収録アルバムは70万枚以上を売り上げ、「のまネコ」のグッズの販売も始めた。

 ところが、「のまネコ」がネット上の掲示板「2ちゃんねる」などで使われているキャラクター「モナー」に酷似しているとして、ネット利用者が反発。「モナーが自由に使えなくなる」と、抗議の動きが起こっていた。
 エイベックスでは、「両キャラクターは全く別物だと考えているが、今回の混乱を招いた以上、出願を取り下げて皆さんに安心して頂こうと決めた」としている。また、30日に同社社員への殺人予告が「2ちゃんねる」に掲載されたとして、警察に被害届を出すことも明らかにした。

(2005年9月30日22時46分 読売新聞)
非常に短い記事だが、この記事には非常に重要な要素が欠落しているそもそも「のまネコ」がモナーを「参考」にしたものであるというAVEX自身も認めている事実だ。

 AVEXがいうところの「インスパイ」という表現が、パクリと同義として揶揄的に扱われている状況から見て、「酷似しているとして、ネット利用者が反発」という要約の仕方ができるものだろうか? 「酷似もクソも、そもそもパクリじゃねぇか」というのが、むしろ事実に近い「反発」の内容ではないか。

 しかも、そもそもの「事件の発端」の要約の仕方も奇妙だ。読売の要約では
歌詞が「飲ま飲まイェイ」など日本語に聞こえることから評判となり、収録アルバムは70万枚以上を売り上げ
 AVEXの発表では、
私たちは、昨年10月に、「恋のマイアヒ」の楽曲を使ってアスキーアート文化の影響を受けた映像と共に音楽を楽しむ面白いフラッシュを見つけました。そのフラッシュは、使用許諾なく楽曲を使用していましたが、「これは非常に面白いので、是非皆さんにも楽しんでもらおう」と思い、作者の方に私たち用に改めてフラッシュを作ってもらい、もちろん作家の許諾を取った上で、CDの特典映像としました。それがマイアヒ・フラッシュの始まりだったことは皆様ご存知のとおりです。

しかし、その後CDの売れ行きが予想もしないぐらい伸びたことを背景に、
と、「のまネコ」FLASHの存在がCDのヒットに繋がったことを認めている。これを<歌詞が評判になったから大ヒット>と要約してしまうのはおかしくないか。だいたい「歌詞」が評判でなぜネコのキャラクターが問題になるのか、この記事から読み取れるだろうか。

 つまり、読売の記事は、問題のきっかけになったいわゆる「のまネコ」FLASHの存在を完全に欠落させて状況を要約しようとしているので、我々が見ている「事実」と微妙に食い違っているのである。

 この読売の乱暴な要約、なぜ「わた」氏のFLASHの存在に言及していないのか、その本意は俺にはわからない。そもそも調べないで書いているのか、なんらかの意図があって「のまネコ」の出自に言及したくないからなのか、「どーでもいい」と思っているからなのか。

 ただ、新聞紙上伝えられる内容と、ネット上で見受けられる内容が食い違っているというのは事実であり、マスコミ報道というのはいつもそういう目線でみていないといかんよなぁと思う今日この頃である。
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by SIGNAL-9 | 2005-10-01 11:55 | 奇妙な論理

韓国がGoogleに是正勧告??

グーグルの個人情報流出が深刻 朝鮮日報 2005/08/24 14:38
大手検索サイトのグーグル(www.google.co.kr)で、不特定多数の名前や住民登録番号、電話番号、住所が流出している。
ええ!? どーゆー意味?
基本情報だけにとどまらず、個人がコンドミニアムを予約したり、会費を払ったり、特定団体を支援するなどの各種情報がそのまま検索されることもある。
ちちちちょっと待ってよ。
23日、グーグルサイトでアン某さんを検索すると、「韓国自動車管理社協会」のサイト(www.ama.or.kr)につながり、会費納付状況をまとめたファイルからアンさんを含む3816人の実名と住民登録番号が出てきた。
 また、別のアン某さんを検索すると、視力回復キャンペーンの“サラリーマン・レーザー手術費用補助の申し込み“の明細から、アンさんの住民番号、電話番号が出てきた。一緒に申し込んだユン某さんの住民番号、Eメール、電話番号も検索結果に載っていた。

 キム某さんを検索すると、キムさんが2002年7月に“オンラインツアー”を通じて海雲台(ヘウンデ)グローリーコンドミニアム1泊2日を予約したという情報と共に、電話番号、携帯電話番号、Eメールアドレスが出てきた。

 チョ某さんを検索すると、チョさんがオンライン・ショッピングモールのイエストップで注文した韓国の昔話の注文明細と共に、電話番号、携帯電話番号、住所まで出てきた。

 このようにグーグルに個人情報の流出が集中する理由は、国内に事業本部がなく、米国本社で一括管理していることから、政府がグーグルに対する取り締まりができないからだ。

 ネイバーやダウムなどの国内検索業者は、自社のモニタリングシステムやプライバシー情報を遮断するフィルタリングシステムを構築して個人情報の流出を防いでおり、比較的被害件数が少ない。

 これらの業者が個人情報を流出させた場合、政府の是正勧告を受ける。

 韓国情報保護振興院のキム・ミンソプ課長は、「グーグルの場合、サーバーの中のワードやパワーポイントなどの文書内容まで検索できるなど検索力が優れているうえ、フィルタリングシステムが麻痺するため、このような現象が起こる」と話した。

 キム課長はしかし、「適切な制裁方法がない」とし、「関連個人情報を所有している国内のインターネットショッピングモールや旅行会社などに対し、情報保護を強化することを要請するとともに、これら業者が直接グーグル本社に関連リストの削除を要請することを勧告している」と話した。
 はあ? おもわず全文引用しちゃったよ。
このようにグーグルに個人情報の流出が集中する理由は、国内に事業本部がなく、米国本社で一括管理していることから、政府がグーグルに対する取り締まりができないからだ。
いくらなんでも、それは責任転嫁というものではないか。そもそも、そんなデータをロボットが引っ張れるような状態で公開サーバ上においてあるというのは正直信じられない。韓国はIT先進国を自認してきたはずだが…。
「関連個人情報を所有している国内のインターネットショッピングモールや旅行会社などに対し、情報保護を強化することを要請するとともに、これら業者が直接グーグル本社に関連リストの削除を要請することを勧告している」
 削除要請出してこい、と。まあそりゃそうだろう。だけど、
 情報通信部傘下の韓国情報保護振興院は、近日中にグーグルのプライバシー侵害事例を集め、是正を求める公文を米国のグーグル本社に送る方向で協議している。
「グーグルのプライバシー侵害事例」??? これがGoogle側の問題だと? てゆーか、何を是正しろっていうの? 見られて困るデータならインターネットになんか置かなきゃいいだけだろうが。公開された場所に名簿置いておいて、ひろった人を責めるというのは論理としておかしくないか? 
 そもそも、Googleが拾わなくてもGoogleが拾えるようなものなら他の手段でも拾えるわけで、Google一社に是正を求めても何の解決にもならないと思うんだが。

 だめだ、どう考えてもこの「論理」、理解できない。
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by SIGNAL-9 | 2005-08-25 13:05 | 奇妙な論理

「個人情報保護―私が体験した過剰反応」

メール誤送信で152名の個人情報を流出 - リスクコンサルティング会社  IT保険ドットコム ニュース編集部 2005/08/18更新
東京海上日動リスクコンサルティングは、企業向けのメール情報発信サービスにおいて、顧客企業担当者の個人情報を含むファイルを誤って添付して送信したと発表した。
同社によれば、7月26日に顧客企業へメール配信を行う際、誤って個人情報を含んだファイルを添付し、送付してしまったという。誤って添付したファイルには、顧客である企業や団体43社103名と、同社および同社グループ内企業など49名、計152名の氏名や役職、メールアドレスなどが含まれていた。誤送信先は39社91アドレスだという。
ピーシーエー生命、115件の個人情報を含む申込書を紛失 IT保険ドットコム ニュース編集部 2005/08/19更新
ピーシーエー生命は、契約者から受領した申込書の一部を紛失したと発表した。
紛失した申込書は60件で115件の個人情報が含まれていた。契約者や被保険者の氏名、住所、生年月日、加入している保険の内容など。個人情報保護法に伴い、全社一斉点検を実施した結果、判明したという。紛失の理由について誤破棄した可能性が高いとしている。
 まあ、あいかわらず続く個人情報漏洩であるが、読売新聞の「土曜茶論」というコラム(2005年8月20日付け)で、個人情報保護 過剰反応!?相次ぐと題する特集記事が掲載されている。
 個々人の顔が見えない「匿名社会」が広がりを見せ始めている。個人情報の保護をめぐり、行き過ぎとも言える事例が相次いでいるのだ。今回のテーマは「個人情報保護―私が体験した過剰反応」。


 ど~も、説得力のない記事である

 「過剰反応」として、当該コラムが取り上げている事例を要約すると;
  1. 知人が都心の有名ホテルで結婚式を挙げることになり、旅先から祝電を打とうとした。ところが、下の名前を度忘れして、どうしても思い出せない。本人に聞くわけにもいかず、ホテルに電話で問い合わせたところ、担当者は「個人情報保護法があるので教えられない」と繰り返すばかり……。
  2. バスツアーで配られていた名札と参加者の名簿が配られていたのに、それがなくなった。
  3. 表札を掲げない家が、1年ほど前から急激に目立つようになりました
  4. 息子のクラスの連絡簿には、担任の先生の住所が書かれていない
  5. 独居老人に関する情報を自治体が民生委員に提供しない
  6. 地域の緊急連絡網作りに住民が協力しようとしない
  7. 叔母が入院している病院の受付で、見舞いを拒まれた。親族であることを伝えたが、職員は「個人情報保護法がありますから」の一点張りだった
  8. JR福知山線の脱線事故でも、身内の安否を気遣う家族らに対し、病院側が患者に関する情報提供を拒む例が発生当初にみられた。


 どれもこれも一律に非難できるようなことではない。

  1. んじゃあ、身元の確認もできない電話で聞かれるままに個人の情報をダダもらしにするホテルっていいと思うの?
  2. 同じツアーの参加者なんだから、個人的に話して聞けばいいじゃん。
  3. 個人の自由じゃねぇか。それとも何か、表札は必ず出せって法律があった方がいいってのか?
  4. 親が学校に問い合わせるなりなんなりすりゃいい。
  5. 上に同じ。ちゃんと理由があるのならちゃんと調べりゃよかろうが。てゆーか、民生委員だったら独居老人の情報入手し放題って方が怖いと思うんだが。殺人事件もあったし。
  6. 主語が不明。誰がその名簿を作ろうとしてるの?集められた個人情報が悪用されないと保障してくれる主体は何?
  7. 適切な身分証明とかしたのかね? 『俺は親族だが』なんて口頭でいっただけじゃねぇの?
  8. 混乱した状況だったらなんでもかんでもダダモレに漏らす方が適切だとでもいいたいのだろうか? そういう状況をさんざ悪用してきたマスコミもあったのでは?


 このコラムを書いた記者に問いたいのは、要するに、ここに挙げられている程度の話から「個人情報保護法のせいで『匿名社会』が広がっている」なんて大仰な結論が導き出せるのか?つーことである。
この現実に、ジャーナリストの櫻井よしこさん(59)は「地域住民の情報を住民同士で共有できていない社会が、いざという時にどうやって助け合うのですか」と疑問を投げかける。「私たちが知らなくても、政府や自治体は個人情報をすべて握っています。匿名社会が怖いのは、行政当局に情報をコントロールされてしまうこと、無責任な体質がはびこること、ひいては私たちの問題解決能力まで失われることです。匿名社会が広がって喜ぶのは、独裁者や悪人だけですよ」
 個人的には櫻井よしこ氏は男前でカッコいいと思うのだが、この記事の発言に関する限り、針小棒大というか、全然レベルの違う話をしている。適切なたとえではないかも知れんが、何でもかんでも「軍靴の音が聞こえる」みたいな拡大解釈する-恐らく櫻井氏が嫌うであろう-頭の悪い論理と似ている。
防災・危機管理ジャーナリストで「まちづくり計画研究所」所長の渡辺実さん(54)は「家族や知人の安否確認に走り回る人々を情報から遠ざければ、パニックが膨らむ。災害や大規模な事故の際には、患者情報の積極的な公開こそが公益にかなう」と指摘し、こう警告する。 「個人情報を十把一からげにして、表に出さないことをよしとする発想からは、誰のため、何のための保護かという視点が、完全に抜け落ちている」
お説ごもっともだが、「災害や大規模な事故の際」と「日常の生活」を一律に論じられても困る。
というか、前の櫻井氏の発言と同じことなのだが、氏のいいたいことを「「個人情報保護―私が体験した過剰反応」の結論に持ってこられても、全然レベルの違う話なのではないか。

 俺も「過剰反応」的な部分はあるだろうなとは思う。だが、この記事に挙げられている「程度」のリスクであるのなら、個人情報ダダ漏らし状態よりははるかにマシであるとも思う。そもそも、「これは過剰反応である」というのならば、「適切な反応」というものはどういうものか提示する必要があると思うのだが。

例えば読売新聞は、「俺は今日の三面記事に出ている○×の親族のものだが、本人に祝電を打ちたいので住所を教えろ」と電話したら、どう反応するというのだろうか?
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by SIGNAL-9 | 2005-08-22 15:40 | 奇妙な論理

AoG.2y.netの記事に思う

在韓カナダ人、Gord氏の管理するAoG.2y.netのBBSふたつのスレッド

Children's drawings in the subway!, How cute.

More children's drawings displayed in the subway., The second time is just like the first.

が保守系Blogなどを中心に話題となっている。

 韓国では竹島の日制定に反発して、子供に書かせた反日絵画を公共施設である地下鉄の駅に掲示しているというものであるが、まあ、韓国にはまったく興味がない(つまり嫌韓でもなきゃあ親韓でもない)ことを自負していた俺でさえドン引きした。
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 BBS参加者からも「ナチズムを髣髴とさせる」的な感想が出ているが、とても先進国の国民のメンタリティで出来ることではない(少なくとも非戦争状態である限りにおいては)、とフツーの日本国民である俺も思う。
 韓国の反米・反日デモの参加者が毎度アメリカや日本の国旗を燃やす(これも相当非道なことではあるが)のと違い、これは明らかに「公け」にやっていることである。
 Gord氏も、「学校の教師が指導して、公共の場で展覧会やってるってことは、少なくとも二つの役所を通過してるのに誰も止めないのはどういうわけ?」という辺りを問題視されたようである。

 さて。

 このようなメンタリティの違いを見るにつけ、あくまでも印象として思うのだが、もしかしたら現在の韓国の社会は根本的に日本とは相当異質なのではないか。

 番組アンケートの大半が韓国に対する嫌悪感を示していたという事実を華麗にスルーしたNHK BSディベートに出演したソウル私立大学教授のチョン・ジェジョン氏いわく、

「歴史認識さえ克服すれば、東アジアの反映の為に日本と韓国はもっと良きパートナーになれるでしょう。民主主義と市場経済と人権と平和などの価値観を私達は共有しています」

 だが、これは本当なのだろうか?
 違うのは歴史認識だけで、「民主主義と市場経済と人権と平和などの価値観」は本当に同じものなのだろうか。

NHKニュースによると、日本の教科書検定制度についてノ・ムヒョン大統領は

「日本政府は介入できない、著者の自由だというが、わが国の国民には到底理解できない」

「歴史教育は国が価値観を教えるものではないか。これは、どの国にも共通したものだ」


 と批判したそうだ。
 韓国にとっての「歴史教育」とか「歴史認識」というのは「国が価値観を教える」事である、ということであるわけだ。

 このセンスは、少なくとも現在の日本とは到底相容れないものであろう。「どの国にも共通したものだ」という認識には苦笑せざるを得ない。国定の歴史教科書しか存在しない国の妄言である。国家が制定する「教科書」というものの存在しない国だっていくらもあるというのに。
おそらくノの脳内世界地図には中国と北朝鮮と日本くらいしか書かれていないのであろう。

 政府が教えたい価値観と一致するとは限らない、検証可能な「資料」に基づく歴史研究とか言論の自由というものも認めるという考え方が、韓国には存在しないと首長自ら宣言しているわけである。

 これほど「考え方」の異なる国と「歴史認識」の共通化などというのは、初手から無理な話なのではなかろうか。
 チョン教授には残念かもしれないが、日本と韓国では、価値観の多様性を認める「言論の自由」のような、「民主主義」や「人権」の根幹を成す概念の共有はしていないようである。

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 と、まあ、そのようなの「異質さ」から目を背けて、表面的に「韓流ステキ」と持ち上げまくったり、逆に「日本に原爆を落としてやる」と激高する韓国オヤジへのインタビューを取り上げて「韓国民は日本の政治家の妄言にこんなに怒っているんですなんとか謝罪と賠償と融和の方法を考えなければ」的論調を展開したり、日本のメディアというのは「大丈夫なの?」と他人事ながら心配になる。

 てゆーか、そんなに気張って「溝を埋めて」「友好」とか「交流の拡大」をしなきゃいけないなんて前提、疑ってみたほうがいいんではないでしょうか? そもそも異質なものだからとか、埋まらない溝があるとかいうことは認めてはいけないことなんですかね? 

 少なくとも俺は、「我が政府が決めた歴史認識だけが正しい」、なんて国と友好したいなぁなんてビタ一文思わないですが。

 まあ、マスコミ様にもいろいろ事情はあるのでしょうが、異質であるということを前提として、是々非々でいかないと、どう見ても逆効果だと思いますがねぇ。

 余談だが、Gord氏は、ヒステリックに反発して愚劣な書き込みをする人間に対しても正々堂々と論陣を張っておられる。大したものだと思う。写真のインパクトが強すぎてあまり言及されていないようだが、彼の意図や心情・意見は、問題のスレッド以外にもきちんと書かれている。文章の方もきちんと目を通す必要があるだろう。
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by SIGNAL-9 | 2005-06-22 16:35 | 奇妙な論理