カテゴリ:東電災害( 37 )

南部スラッジプラント マスコミ向け見学会

 気がつかなかったが、南部スラッジプラントで報道機関向けの見学会が開催されていたのだな。
平成23年6月15日(水)、東京都下水道局では、報道機関の方々を対象に、南部スラッジプラントの施設及び汚泥処理工程を詳しく見ていただく施設見学会を開催しました。
  1. 相変わらず排気の情報はないが、フィルタ前と灰ホッパのところでも、0.1μSv/h以下(1.4倍程度ゲタを履かせても)なので、「現時点」では「この施設から周辺環境への影響はないものと考えられます」で納得できるのではないか。そもそも入力側の汚染が低ければ出力側も問題はないはずなので。
     フォールアウト後、雨水で流れる分はほとんど流れきってしまい、新たに大量の流入は無いということだろう。
     騒ぎになった、5月以前はどうだったのかは、さっぱりわからんが。

  2. 混練灰がかなり「濃く」なってる。
     6/17ではCs134: 21,000Bq/kg、Cs137: 23000Bq/kg。 5/18~19の南部スラッジプラントの汚泥焼却灰は、Cs134: 7,400、Cs137:8,200 だったので、ざっと2.8倍。

 ということで、新たに大量の流出がない限り、溜まってしまっている灰の始末が当面の課題と言うことだろう。

  1. 「排気のフィルタでCsは99%以上トラップされる」という役所の主張に関しては、とうとう個人的に納得できる情報は出てこなかった(入力が少なくなった現時点では調べても無駄だろう)。
    このあたり、福島を始めとする他の被害地域への重要な知見になると思ったので期待していたのだが。

  2. 俺みたいにウォッチしている人間も見逃していたということは、このあたりの「安心・安全」側の情報の伝搬に問題があるような気がする。
    役所もマスコミも「マスコミ向け見学会を開きました以上」とか「悪い話は大騒ぎするが、安全話は大きなニュースにならない」とか、そういうココロモチで仕事を進めないでほしいものだ。

  3. これは自戒だが、ニュースの受け手である俺も、「悪いこと」には敏感だが、「良いこと」には鈍感なところがある。このあたり自覚しておかないと、ヘンナ踊りを踊らされる羽目になる。


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by signal-9 | 2011-07-01 12:25 | 東電災害

一般ゴミから放射線 汚染源はなんだろう?

都内の家庭ゴミ焼却灰から放射性物質 8000ベクレル超、一時保管へ 2011.6.27 23:30 産経
東京都と東京23区清掃一部事務組合は27日、一般家庭ゴミなどを処理する23区内の清掃工場のうち、江戸川清掃工場で発生した焼却灰から、1キログラムあたり8千ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたと発表した。同組合によると、灰はフィルターで集められ、運搬時などは密閉しているほか、施設周辺の空間放射線量の測定結果からも、外部環境への影響はないとみている。

清掃工場から発生する灰には、焼却後に焼却炉の中にたまる「主灰」と、焼却時にフィルターなどに集められる「飛灰」がある。

 今回、1キログラムあたり8千ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたのは江戸川清掃工場の飛灰で、9740ベクレル。同工場の主灰や、ほかの清掃工場の飛灰、主灰は8千ベクレルを下回った。
 東京23区清掃一部事務組合の放射能測定結果及び焼却飛灰の一時保管について(PDF)をみると、またしても色々疑問が。
  1. 焼却炉の底に残った灰(主灰)と濾過式集塵器などで集めた排ガス中の煤塵(焼灰)の比率を見てみると、最低1:5(葛飾)から最高1:38(有明)まで大きくばらつきがある。
     これの原因は何なのだろう。 
     焼却温度の違い? それとも濾過式集塵器の性能?


  2. 下水スラッジプラントの記録ではよく判らなかった排ガスのトラップ状況の数字が出てきたのは一歩前進だが、トラップした「残り」の数字がないので、相変わらず収支が不明である。
     この間も書いたが、煙突が高くて排気温度が高ければ、排ガス中に含まれる物質はかなり高く昇るんではないか(ちなみに葛飾清掃工場の煙突は高さ130メートル)。
     「大丈夫漏れてない」には、煙突の出口で測った数字が必要なんじゃないか。
     (個人的には、水銀とかダイオキシンとか、放射性Csなんかよりもっと直接的にヤバいものに対処してるのだからあまり心配してないのだが。もっとも、このトラップした数字を見ると、元がもっと高濃度の汚泥焼却の方はもっとスゴい数字なんじゃなかろうかとちょいと心配-処理システムの維持という観点で-にはなる。)


  3. そもそも元の汚染物はなんなのだろう。
    主灰の段階でもっとも高濃度な葛飾を例に取ってみても1290Bq/kgなので微量(減容率10%と仮定して130Bq/kg。バナナのK40と同じくらいか)だが、東京中に散らばった清掃工場でまんべんなく検知されているということは、どこの場所からでもまんべんなく排出されるゴミなのだろうか。
     普通の家庭のゴミ(可燃ゴミ)に付着した分だけでこんなに出るものなのかなぁ。
    廃プラ焼却による周辺大気の汚染(PDF)、こちらの資料によると、23区の可燃ゴミの組成(平成20年の集計)は、紙類が43%、塵芥(生ゴミとか)が35%、繊維が5%、木や草が9%。
     今まで得られている知見から単純に思いつくのは「草木」だが…。

 まとめると、下水汚泥の話と同じなのだが、相変わらず収支が不明である。

 「施設周辺の空間放射線量の測定結果からも、外部環境への影響はないとみている」という言い分にどの程度納得感があるかは人それぞれだろうが、俺が上司だったら報告書を突っ返すだろうなぁ。

 つーか、まあ、東京都が責任を持って「再飛散はしてないし、東京はそもそも安心」と言ってるわけだから、俺たちとしては今まで通りに生活するしかないのだが。
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by signal-9 | 2011-06-28 13:46 | 東電災害

東京都の100箇所測定結果が出そろった。

都内における空間放射線量の測定結果について(第6報)

ちょっと注意が必要だろうと思うのは、この「数値」の見方だ。

東京都のこの測定は、日立アロカメディカルのTCS166というシンチレーションサーベイメータで行われている。
 この機械は甚だざっくりいうと、類似機種よりも計測値が低めに出る場合があるようである(1Gy/h = 1Sv/hと考えた場合)。

【6/27追記】
「低め」という表現は、俺のバイアスかもしれない。本記事最下段の追記参照のこと。「類似機種の方が高めに出てる」という表現が適当なのか?? まあ、いずれにしても今回のこの計測数値には読み方に注意が必要という趣旨は変わらないので、とりあえずこの記事はこのままにしておく。

 例えば国立市によると、
現在、東京都が都内100か所を測定をしている機種はアロカTCS166で国立市が測定している機種はDoseRAE2 PRM-1200です。

東京都が実施した、この2機種による70か所の同時測定結果はアロカTCS166の測定結果よりDoseRAE2 PRM-1200の方が数値が高い結果になりました。
地上1mで平均1.46倍。地上5センチメートルで平均1.38倍の差が生じています。

アロカTCS166はγ線の空気吸収線量率(μGy / H)を測定します。
DoseRAE2 PRM-1200は検出したγ線のエネルギー量を1センチメートルの深さでの線量として換算し(μSv / H)で測量します。
1.4~1.5倍というと、けっこうな差である。例えばTCS-166で0.09なのが、PRM-1200では0.13くらいにはなりうるということだ。

 長野県のサイトにある空間放射線量率計の変更に係る検討(PDF)によると
TCS-166も172もどちらもシンチレーション検出器によりγ線のみを測定する機器だが、TCS-166は空気吸収線量率(Gy/hr)を表示し、TCS-172は1cm線量当量率(Sv/hr)を表示している。TCS-166を使用していた時は、α線やβ線がないという前提でGyに換算係数1を乗じてそのままSvとしていた。

 H23.6.8のTCS-166による測定値とH23.6.16のTCS-172による測定値について、同じ地点で測定したデータのうち、焼却灰等の影響がほぼない地点と、影響があっても保管状況に変化のない地点のデータについて相関を確認した。結果は、TCS-172がTCS-166より約2割指示値が高いことがわかる。(0点を通らない回帰直線をあてはめると、指示値で概ね0.02程度高くなる。)
 同じメーカの機械でも2割くらい違う場合があるわけだ。

 在日ドイツ商工会議所などの計測結果と比べても、今回の東京都の計測数値が低めに出ている傾向は見て取れる。

 また、TCS-166は最小測定単位0.01で、誤差±15%以下のようなので、単独でもその分の誤差は考えないといけない。例えば0.13と表示されている場合、0.15~0.11くらいの幅を見込む必要がある。

 このあたりを踏まえると、この計測で小数点以下2位のレベルで高いだの低いだの言ってもあまり意味がない。

 むしろ、空間放射線量測定点・測定値(地上1メートル、地上5センチメートル)のように「傾向」をみることだ。

 個人的に重要と思えるのは、今回の計測で23区東部(俺の感覚的には隅田川から東っ側)が比較的高めであるという事実を東京都が公式に追認したということだろう。

参考までに
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by signal-9 | 2011-06-24 12:02 | 東電災害

都市システムの維持という観点

 そろそろ「都市システム」の維持という観点から、放射性物質との戦い方を考えてみる必要があると思うのである。

 下水汚泥-焼却灰の取り扱いによって、汚泥処理システムの維持が危機を迎えているが、この種の問題がまだまだボロボロ出てくるだろうと思うからである。

 例えば、泥をみたらセシウムと思えという観点から、気になっているのが、河川の浚渫(しゅんせつ)なのである。

 意外と知られていないかもしれないが、都市部を流れている河川は定期的に川底を浚って、土砂やヘドロを除去している。船の運航の為に水深を確保したり、洪水などに備える為だ。
 東京都第一建設事務所によると、対象は27河川、約130キロが浚渫事業の対象となっており、掘削した土砂を東京湾の中央防波堤外側にある新海面処分場へ運搬しており、平成19年度の「隅田川、新河岸川、中川、日本橋川、亀島川 、新中川の6河川9箇所」の工事では、「延長は約 1,600メートル、掘削する土の量は約 97,200 立方メートル(小学校などの25メートルプールで約243杯分)」とのことである。

 現在までに判明した都市部での放射性物質の振る舞いから類推して、川底には結構な量のセシウムが集められていると推測できる。
 作業の安全性や廃棄方法を含めて、調査・検討が必要だろう。

 もうひとつ、草木をみたらセシウムと思えという観点からは、公園とか街路樹である。

原発事故関連情報(6):森林生態系における放射性セシウム(Cs)の動態とキノコへの移行 日本土壌肥料学会によると、
このように森林におけるCs-137の分布に強く係っているのが、森林生態系の栄養塩サイクルに伴うCsの循環である。即ち、土壌表層のCs-137が植物によって経根吸収されて葉に至り、これが再び溶脱やリターと共に林床に帰るという、一種のポンプの様な作用が働いている。この循環の中で、Cs-137は可給態(植物にとって利用されやすい存在形態)を維持し、それ故森林のキノコや植物中のCs-137は比較的高濃度に維持される…全沈着量のうちCs-137の80%、Sr-90の63%が深さ5 cmまでの表層土壌に存在していることが報告されている。残りの部分は、より深い土壌と植物(主として樹木)に存在する。樹木中のKは、個体内の生物活動が活発な部分に集まることが知られており、Cs-137もほぼ同様の傾向を持つ。例えば、チェルノブイリ事故によって汚染されたマツの場合は、若い葉や、樹幹の形成層付近で濃度が高いことが確認されている
これはいわゆる「森林」での話だが、公園や街路樹の樹木でも挙動的には同じ事だろう。つまり、根→幹→葉→根…というサイクルが繰り返される可能性が高い。
 若葉の手入れとか落ち葉の始末が放射線の低減に寄与する可能性はあると思う(植物の種類にもよるだろうが)。
 落ち葉に含まれるセシウムで内部被曝の心配をするまでのことはなかろうが(ンナもの喰うやつはいない)、フツーの可燃ゴミとして焼却してしまうと、またぞろ下水焼却灰と同じようなことにならないかが心配である。

 東京大学は本郷や柏のキャンパスの空間線量の調査をやってるくらいだから、小石川植物園とかでセシウムの調査をやってみたらどうか。あそこは広葉樹から針葉樹まで様々な樹木があるし、池や芝生もあるので良いモデルになると思うのだが。

 とまあ、思いついたものを挙げてみたが、いずれにしても今判ってることから言えるのは、都市部においては「水」と「植物」がキーポイントである、ということだ。

 これらの扱いは、今現在でも「都市のシステム」に組み込まれてマネージされているわけだが、このシステム-「維持する仕掛け」が放射性物質という余計なもののためにあちこちに齟齬を来しつつある。

 見てみないふりをしていても状況はよくはならないのであるから、その「維持する仕掛け」に放射性物質の取り扱いを加味して再構成する必要がある。

 これは間違いなく、主管しているお役所の仕事なんである。

 問題が顕在化してから国の基準を求めるなどという、世の中をナメきったようなスピードではなく、想像力というものを働かせて早め早めに手を回しておくことを強く望む。
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by signal-9 | 2011-06-20 16:33 | 東電災害

東京都もだいぶ前進していることは認めるが

東日本大震災への東京都の対応 

都廃棄物埋立処分場での放射線量(γ線)測定結果 5/25・6/1をみると、下水汚泥焼却灰と上水スラッジを埋め立てている場所での空間線量を測ってみた結果が出ている。ちなみに東京都環境局中防合同庁舎は、大井埠頭の沖にある。

 ぱっと見、気になる点。
  1. 直感的には下水汚泥焼却灰の方が上水スラッジより放射線量は高そうだが、実際には逆。
    単純平均値で比べても、下水汚泥焼却灰エリアが0.3、上水スラッジエリアの方が0.4で、最高値0.65も上水スラッジの方で記録。

  2. 同じく直感的には、γ線計測とはいえ、地面に近いところの方が線量は高そう(実際には殆ど変わらない筈)だが、最高値を記録している上水スラッジB2地点では地上1センチが0.35、1メートルだと0.65。地面すれすれの方が線量が低い。上水スラッジエリアは,計測日や地点に依らず、この「1m > 1cm」傾向が見える。
    逆に下水汚泥焼却灰エリアは高さに関わらず一定のよう。
 こんな結果だけポンと公開されると、「おいおい、下水よりも上水の方がセシウムため込んでんじゃねえか?」とか「1センチより1メートルの方が高いって、もしかして煤塵が空中に飛散してるからじゃないだろうな?!」みたいな憶測を生まないか心配になってしまう。

 飛散防止対策は放射性物質に限らず行われているだろうし、こんな場所で年がら年中生活しているヒトはいないだろうから、だからど~だということではないが(働いている人には深刻な問題だろうが)、ただ「数字を調べました・発表しました。以上」は不親切だなあ。

 どうも、この手の「説明不足」がまだ目立つ。

 放射性物質検出問題 下水汚泥処理施設を公開--大田 /東京◇都は安全性を強調 毎日新聞 2011年6月16日
 この日は、都職員が焼却灰の処理・保管状況を公開するとともに、敷地内の放射線量を測定。処理した焼却灰のある建物内では、2・5~0・8マイクロシーベルトを計測したのに対し、屋外では0・08マイクロシーベルト前後だった。担当者は「焼却灰が飛散しないように管理されており、安全面に問題はない」と話した。
 いやまあ、毎日新聞の記者氏がそれで納得だったら別にいいのだけれど、「屋外」というのはどこのことなんだろう。

 羽田空港の関係で煙突が低いといっても、写真で見るかぎり10メートル以上はありそうだ。いくら冷やしてると言っても排気はそれなりの温度だろうから、この煙突からの排気は、すぐその場=「施設内」に漂うのではなく、上空に昇っていくんじゃないのか。

 で、この煙突から「漏れてるかどうか・漏れてるとすればどの程度か」が一般人の興味の焦点なんではないのか。

引用:南部スラッジプラントにおける汚泥処理



この図を見る限り、
  1. セラミックフィルタ・スクラバで具体的にどれくらいトラップされてるのか

  2. 排気してる最中の排気口近辺の放射線量
程度は公開して、「ほれ、排気の中にも出てないでしょう。つまり施設外には出てませんから一般ピープルは無問題です」という説明すべきなのではないか。

 東京都もだいぶ前進していることは認めるが、「安心のため」にはまだまだ情報公開と丁寧な説明が必要なようだ。

 ちなみにこの手の「論拠」を、コンピュータ業界では「エビデンス」と称するスカした奴が多いが、"evidence" というのは「外に(e-)」「videre(見える)」というのが語源なんである。
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by signal-9 | 2011-06-16 16:09 | 東電災害

「とりあえず」の重要性

郡山市立橘小学校の試み。

橘小校内放射線値報告6・7(PDF)
、北校舎の1 階は中庭からの影響で他の教室に比べて線量が高くなっていました。そこで、水による放射線の遮へい効果を利用し、水を入れたペットボトルを壁のように並べて教室に侵入する放射線をさえぎろうと計画しました。(職員の間では「新ヤシマ作戦」と呼んでいます。)
皆様のご協力により、おかげさまで、約500 本!のペットボトルが集まりました。さっそく、ペットボトルに水を入れて水の壁を作ったところ、以下のような効果が表れました。
このように教室平均で約50%の低減効果が表れました。特に窓側では約3 分の1に!確かな効果が表れました。皆様のご協力に感謝いたします。
中庭の表土を入れ替えるのが最も効果的なのでしょうが、実現までにはしばらく時間がかかりそうです。現在できることを工夫しながら、少しでも放射線量を少なくしていきたいと思います。
  恥ずかしながら俺は「福島の学校の窓ガラス全部、放射線遮蔽用の鉛ガラスに変えちゃうとかできんのか」「ヤバいところは放射線遮蔽コンクリートで固めてしまえないのか」なんてコスト的に現実的でない空想ばっかりしていたのだが、「水」でもかなりイケるというのは予想外だった。

ハードSF作家の野尻抱介氏が追試されたところ
意外にも、厚さ12cmの水で線量は1/2~1/3に。環境放射線は高エネルギーのものが多いので容易に遮蔽できませんが、セシウム起源のものはかなり容易に遮蔽できるようです。

137Cs,134Csから出るγ線の遮蔽はわりと容易。遮蔽物は水でも鉄でも石でもよくて、質量の問題。1平方cmあたり120gで1/2から1/3ぐらいになった。
とのことである。

 もちろん、上のPDFでも記述されているように、本対策として校庭の表土除去を実施する上での話(すでに実施されているようだ)だが、「現在できることを工夫」=「とりあえず」の対策としては、コストパフォーマンスという観点から興味深い試みである。

 そしてこの とりあえずの対策 というのは、結構重要な視点だと思う
 「基準が決まってないので何もしません」だの言ってる間も被曝は待ってはくれないのだから。

 そして、結果論ではあるが、この「小気味よさ」は勇気を与えてくれる。
 市井の市民の創意工夫でも、できることはいろいろありそうだ。
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by signal-9 | 2011-06-14 16:05 | 東電災害

スラッジプラントの近くの卸売市場は大丈夫?

 東東京で「独自の放射線計測」に手を付けている区などの記事で、東京でももっと細かく調べるべきだと主張してきたが、ようやくいくつかの自治体(「区」レベル)で動き始めたようで、まずは良い傾向だ。些か遅きに失した感もあるが、何もしないよりはましである。

 かたくなに大本営発表にしがみついていた都も、そろそろ真面目に「安全・安心」に取り組む動きが見えつつある。都内における空間放射線量の測定の拡充について

 のだが。

 まだちょっとアレなのは、根本的に調べる方針が間違ってないか?という疑問である。

 俺はかねがね、「ヤバそうなポイント」を発見するために、計測ではなく「探索」視点で調査を行うべきだ、と主張してきた。
 現時点では漫然と空間線量を測っていてもあまり役には立たない。むしろ、
  1. 放射性降下物が集積されそうなところ

  2. 重要な施設
を重点的に調べるべきだ、ということである。

 一例を挙げる。

 下水処理施設にセシウム同位体が高濃度に蓄積され、それが焼却されているということに関しては、ようやくテレビでも取り上げられるようになった。

 「江東こども守る会」が独自に計測した結果の見解によると、東部スラッジプラントからの再飛散が疑えるという。このデータの評価に関しては、一読した限りではそのまま全面的に賛同しかねる部分もあるが、総論としてはスラッジプラントからの再飛散に蓋然性があることに異論はない。

 「江東こども守る会」の調査報告にはいくつかの大きな仮定があり、当然ながら高リスク側に倒して(「悲観的に」)評価している。これはこれで資料の趣旨としては納得だが、結局のところ、スラッジプラントの管理責任元である東京都の調べ方が足りない、ということが最大の問題なのである。
 東京都下水道局が今出している情報からでは収支に関して何も判断が出来ない-漏れてるのか漏れてないのか判らない-というのは前から書いているとおりだ。

 南部スラッジプラントを視察した東京都議から、
下水汚泥を焼却した時に出る煙の、煙突排出口付近も調査。ここでも高い放射線量を記録!周辺地域への影響が不安。その場で早急に徹底した調査と対処をするよう要請した。
こんな発言もあるわけで、前にも書いたとおり、排ガス(煤塵)含め、収支がある程度判る調査が必要なのである。

 このような状況だと、「漏れてる」前提でものを考えることは不合理とは言えないので、その前提であえて書くが;

 先月中旬にも書いたことだが高濃度の放射線汚泥が確認された下水処理施設のそば(数キロ圏内)には、中央卸売市場があるケースがいくつかあるのである。

 例えば新河岸水再生センター(板橋区新河岸3-1-1)は中央卸売市場・板橋市場の、葛西水再生センターは葛西市場の近所だ。
 施設内の空間線量で2.7μSv/hが計測された南部スラッジプラント(大田区城南島5-2-1)はすぐそばに中央卸売市場大田市場がある

 中央卸売市場というのは一般的に、かなり通気性の良い施設である上、排水の多い場所である。

 水再生センター・スラッジプラントでセシウムが高濃度の汚泥・焼却灰が確認されているのだから、まず真っ先に濃縮された汚染の再拡散を疑って調べるべきだし、その近在に卸売市場のような飲食物が集積される重要拠点があれば、流通している物品の計測も必要だが、施設そのものの汚染状況を調べてみるというのがマトモなリスクマネッジだと思うのだが、どうか。
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by signal-9 | 2011-06-09 15:36 | 東電災害

柏市の公園で0.5μSv/h。「今すぐ対策をとる状況とは考えていない」?

東葛地域における空間放射線量の測定結果について(5月31日~6月1日計測)

 柏市の松葉第一公園、0.49μSv/h (±30%) 、「今回は木や建物の影響を排除するため、周囲1m以内に木、建築物等がない場所を選定」。

 結論としては、「一般人の人工被ばくの年間許容線量(1ミリシーベルト)を上回る約1・6ミリシーベルトに達する計算だが、県は「外で遊ぶことに問題はない。今すぐ対策をとる状況とは考えていない」と説明している」

 いやいやいやいやいや。除染だのなんだのは「今すぐ」は無理だろうけど、「対策」は取った方がいいだろう。

 文科省方式で「正しい空間線量」を計ったんだったら、次は、「高め」に出ている原因を調べるという「対策」を打つのがフツーの考え方だと思うんだが。

 文科省方式で地上1メートルで計った値が0.4~0.5μSv/h以上あるのなら、より細かい調査をするべきだ。
  1. 文科省は同じ基準の測定で、1μSv/hだったら除染対象にしているのだから、その半分程度の値は重点調査の閾値として妥当と思われる。
  2. 放射線管理区域のひとつの基準、「外部放射線に係る線量については、実効線量が3月あたり1.3mSv」に照らして考えると、0.6μSv/hを「やや」下回る値は重点調査の閾値として妥当と思われる。
  3. 0.5μSv/hが全部自然放射線由来だったら無視でもいいのかもしれないが、大半が人工降下物なんだから、吸引による二次被曝を考えないと「不安」解消にならない。

 賭けてもいいが、「周囲1m以内に木、建築物等がない場所」じ ゃ な い 近所にはもっと高いポイントがあるはずだ。

 さらにこれも賭けてもいいが、排水の流れるところとか、構造・地形的に水が溜まりやすいところだったらこの計測値の 数 倍 になるところが近くに必ずある。
 仮に、0.5の2倍で1μSv/hあるポイントだったら、文科省の除染の基準に合致する。

 せっかくTCS-171使ってるんだから、探してみればいいだろうに。

 除染だのなんだのはその次の話だろうが。

 なんでこうも「やらない方やらない方」へ考えるのかなあ。公務員の人っていったい何と戦ってるの?
やっぱりダチョウさんなの?
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by signal-9 | 2011-06-03 12:33 | 東電災害

東東京で「独自の放射線計測」に手を付けている区

渋谷区も放射線量を独自計測へ 産経 2011.5.31 21:46
東京電力福島第1原発事故に伴い東京都渋谷区は31日、6月中にも区内の放射線量を独自に測定することを明らかにした。近日中に専門家から意見を聴取し、測定場所や測定方法を決定する。

 区によると、放射性物質の影響を心配する声が数多く寄せられており、特に校庭や園庭、公園などについてが多いという。

 専門家は小児科医や研究者らを予定。計測対象場所の選定のほか、大気や土壌、水などの計測対象や方法についても疫学的に評価する。

 桑原敏武区長は「6月から学校のプール授業が始まるが、保護者には心配の声がある。子供は特に放射線の影響を受けやすいとされるので、6月中には測定を始めたい」としている。計測は定期的に行い、結果は区のホームページなどで公開する方針。
東日本大震災:学校で放射線量測定 あすから平塚、大和両市で /神奈川 毎日新聞 2011年5月31日
 福島第1原発事故による放射性物質の子供への影響を懸念する声が高まり、平塚、大和両市は30日、学校での放射線量を6月から測定すると発表した。県内の測定値は屋外活動を制限する国の基準値を大幅に下回り、県立校や他の自治体は測定を見送っている。しかし、県産茶葉から放射性物質が検出されたこともあり、「不安解消のため」と両市は独自の測定に踏み切る。
土壌、大気中の放射線量 自治体独自測定の動き 2011年5月28日 読売新聞
習志野市は27日、同市鷺沼の市役所隣の空き地で、簡易測定器を使い、大気中の放射線量を測定。地表から高さ1メートルが毎時0・07マイクロ・シーベルト、5センチが毎時0・09マイクロ・シーベルトで、学校などで屋外活動を制限する国の基準値(毎時3・8マイクロ・シーベルト)を下回った。同市は「健康に問題ないとの結果が得られた」としている。

 市川市は27日、市内3か所で24日に大気中の放射線量を測定したところ、毎時0・17~0・25マイクロ・シーベルトだったとホームページで公表した。簡易測定器を使い、市有地などの地上1センチ、50センチ、1メートルの高さで、1分ごとに計3回測定、平均値を出した。

 船橋市は6月2、3日、市内の保育園や小学校、公園計11地点で大気と土壌の放射線量を測定する方針。大気は1地点につき、砂場では地表面から1センチの高さで、園庭では1センチ、50センチ、1メートルの高さで5回測定し、平均値を出す。土壌は地表から深さ5センチの土砂を採取し、分析する。結果は市のホームページで公表する。 富里市は、大気中の放射線量を市消防本部(市七栄)で毎日測るほか、市立小中学校、幼稚園、保育所の計18施設で週1回測定する。いずれも31日から、市のホームページで数値を公表していく。
その他、「放射線」「独自測定」/「独自計測」というキーワードでWeb検索すると、東京及びその近隣でもいくつかの地方自治体が動き始めたようである。

 ちょっと気になるのは、

 「県内の測定値は屋外活動を制限する国の基準値を大幅に下回り」
 「学校などで屋外活動を制限する国の基準値(毎時3・8マイクロ・シーベルト)を下回った。同市は「健康に問題ないとの結果が得られた」としている」

 やはり例の「国の基準値」、 20mSv/y→「3.8μSv/h」が拡大解釈されているような気がする。

 「屋外活動を制限しなくて良い」と「安全です」は同じ意味ではない。3.8以下だったら「健康に問題ない」だなんて、国は担保していないわけで、文科省はすでに非を認めた形で
公立学校では、ほぼ10割国の負担ということを指しておりますが、その財政支援を行うことといたします。
対象につきましては、土壌に関する線量低減策が効果的ということとなる校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校とし、これは6月1日ごろからこの測定を再度全校について行いまして、その結果に従って、この1マイクロシーベルト以上の学校ということを見極めていきたいというふうに思っております
(5月27日 髙木義明 文部科学大臣の会見)と言い始めた。

 要するに、実質的に今の「国の基準」はバックグラウンド込みで 1μSv/hということである(それでも8.8mSv/y、自然被曝の世界平均の3.7倍なわけでまだ高めの値だが)。

 さて、渋谷区が調べ始めるというニュースはちょっと意外に思った。

 前から書いてきたように、東京ではどうも北東-東側の方がセシウムの汚染度が相対的に高いらしきデータがいくつも得られている(「ホットスポット」という用語を使うのはどうかと思うが)。
 「素人計測なんか信用できない!」と青筋立てて反論しても、限られたポイントとはいえ農作物や土壌の核種分析結果や、下水・浄水の汚泥など傍証もいくつかあるし。

 こういう事情を反映して、北東-東側の区民の方が要求の声が多いんじゃ無かろうかと思っていたからだ。

 ちなみに、いわゆる東東京の各区の6/1時点での、「区独自の放射線検査」の対応状況をそれぞれのホームページで確認してみると;

足立区 実施中
葛飾区 準備中6/2から
江戸川区 大本営発表。
荒川区 大本営発表。
墨田区 大本営発表。
江東区 大本営発表。ただし亀戸の土壌放射線に関しては測定した人に情報確認。(計測したわけではない)
台東区 大本営発表。調整中
文京区 大本営発表。
北区  準備中。6月中旬開始予定
板橋区 大本営発表。
豊島区 大本営発表。
千代田区 大本営発表。

東東京で手を付けている区は「足立区」「葛飾区」と「北区」だけのようだ。

 個人的にはせめて隅田川から東側の区は、学校や公園は早めに調べた方が-少なくとも調べる手段は手当てしておいた方が-いいと思うのだけど。

【6/2追記】
台東区も手を付けるようだ。
葛飾、台東で空間放射線量測定を開始へ 毎日新聞 2011年6月2日 地方版
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by signal-9 | 2011-06-01 17:24 | 東電災害

東京都の下水放射線。相変わらず収支が不明

下水処理における放射能等測定結果 5月10日~12日

多少細かい数字が出てきたのだが、これをみるとイロイロ気になることが。

■やっぱり東京北東部の方が高汚染?

 「スラッジプラント」は水再生センターでできた汚泥の処理を行っている=つまり後処理とのことなので、「水再生センタ-」での汚泥だけで比較してみる。

 実際に何トンの汚水を処理したのかという「入力」の数字が提供されていないので、それぞれの水処理センターの計画的処理面積が概ね汚水を集めた面積と仮定して、汚泥のセシウム濃度と計画的処理面積の比率(Bq/kgをhaで割る)を出してみた。

大きい順に並べてみると;
みやぎ水再生センター    0.76
葛西水再生センター     0.64
北多摩二号水再生センター  0.37
北多摩一号水再生センター  0.16
新河岸水再生センター    0.09
浅川水再生センター     0.02
多摩川上流水再生センター  0.02
清瀬水再生センター     0.02
八王子水再生センター    0.01
南多摩水再生センター    0.01
となり、「みやぎ(足立区)」と「葛西(江戸川区)」が桁違いに高い。


 同じ23区内ということで、「みやぎ」と「新河岸」で比べてみると;
(「新河岸」は「浮間水再生センター」と共同処理だが、「発生した汚泥は浮間水再生センターから圧送された汚泥とともに、全量をセンター内で焼却処理」とのことなので、当該地域の汚泥の全処理を行っていると見なす)

新河岸水再生センター
「処理区域は、練馬・板橋・杉並区の大部分と中野・北・豊島・新宿区の一部で、面積は10,474ha」

みやぎ水再生センター
「処理区域は、北区の大部分と板橋・豊島・足立区の一部で、面積は1,687ha」

つまり、「みやぎ」は「新河岸」と比べると処理区域の広さが6分の1以下なのに、1.3倍以上のセシウムを集めていることになる。

 未だデータが乏しい(荒川とか文京のあたりを処理している三河島水再生センターなどの汚泥の数字がない)ので、早計は差し控えるが、東葛方面の空間線量が高いという件と合わせて考えると、東京北東部の方が汚染度が相対的に高いことを示唆しているような気もしないでもない。

【6/1追記】
見逃していたが、浄水場発生土の放射能測定結果についてをみると、5月17日時点でセシウムは
金町 4,100bq/kg
朝霞 2,200bq/kg
小作   620bq/kg
東村山 1,540bq/kg
やはり東京の北東部にある葛飾区の金町浄水場が優位に高い。

■ セシウムの行き先がよくわからない。

 5月11~12日という時点にも関わらず、汚泥には微量ながらまだヨウ素が検出されている。焼却灰では当然ながらヨウ素はほとんど不検出。沸点が低いから焼却処理で気化して「どこか」にいってしまったのだろう。いずれにしてもヨウ素は平均で111Bq/kg、漏れたとしてもさして問題にはなるまい。

 やはり気になるのはセシウムである。

 以前にも引用したが、南部スラッジプラントの資料だと、「脱水汚泥と比べて重量比で約4.5%の灰に減量化」とあるので、減容率は100:4.5=22倍と仮定してみる。
 例えば「葛西」ではCs計が3150Bq/kgなので、22倍に濃縮されるとすると、焼却灰は69300Bq/kgになるはずだが、実際は53200Bq/kgである。つまり、灰には理論値の43%だけが残ったという勘定になる。
同じ計算をして並べてみると;
東部スラッジプラント    43
葛西水再生センター     43
みやぎ水再生センター    35
新河岸水再生センター    50
南部スラッジプラント    54
北多摩一号水再生センター  43
南多摩水再生センター    22
北多摩二号水再生センター  53
浅川水再生センター     56
多摩川上流水再生センター  60
八王子水再生センター    63
清瀬水再生センター     54
 つまり、灰に残ったセシウムは平均で 48%=半分弱。残りの半分強は「どこか」に行っていると推測できる。

 「どこか」といっても、脱水汚泥→焼却灰+排ガス(煤塵)と思われるので、まあ、排ガス(煤塵)中に含まれていると考えるのが妥当なのではあるまいか。

 前にも書いたが、排ガスを放出する前の排煙処理段階でバグフィルタなどで捕まえられていることを強く希望するが、そのデータは相変わらず提供されていない。

…どうも怪しいんだよな。
 確かに「空間線量は上がってないよ」つまり「煙突からは漏れてないよ」と言いたいらしいデータが付いてるんだが、そもそも、施設ごとに空間線量の「平均値」ひとつだけ、というのはどうなのよ。
 例えば葛西水再生センターなんて、施設面積「361,774平方メートル」だぜ。36万平米の内、何カ所で計った「平均値」なのかも公開しないで、「平均で0.14μSv/hでした。以上」で、何かの説明になってるのかねえ?

 前にも書いたが、再び、ちゃんと収支が推定できる情報を公開すべき、と訴えておこう。
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by signal-9 | 2011-05-31 17:46 | 東電災害