『怪獣記』


 未確認動物UMA大全(並木伸一郎)を書店で見かけて思わず買ってしまった程度には未確認動物・未知生物に興味がある。

 …つーか告白しちゃうと、ジャン・ジャック バルロワの『幻の動物たち』だの、ロイ・マッカルの『幻の恐竜を見た』だの、それらしい本は目に付いたら読んでいる程度には好きなんである(笑)
 まあ、一般平均から見れば好きモノの部類に入るであろう。

 なぜかというと、未確認生物・未知動物ネタは少なくとも、ユーフォーに乗っかってきたウチュー人の拉致監禁生体実験だの心霊写真だの前世がどうのというヨタ話と比較すれば、ある程度ロマンを感じるからである。

 この手のオカルト話で注意しなきゃいかんのは、オカルト高じてカルトと化すという状態である。
 何らかの「主張」だの「道徳」だのが混ざっていたらかなりヤバいと思わなきゃいけない。

 典型的なのがいわゆる「水伝」である。
 「ありがとう」の心が水に通じるのなら、信者の方みんなで社会保険庁前で「ありがとう」の大合唱をすれば年金問題も解決するんじゃなかろうか(笑)

 勿論十把ひとからげで論じるわけにはいかない。
 俺的には、どこぞの湖にプレシオザウルスだのモササウルスだのの生き残りが跳梁跋扈してるとか、原人の生き残りが徘徊してるとか、ましてや遺伝子操作された謎の怪物がヤギの血を啜ってるとか、そりゃあいくらなんでもウソくさいと思う。

 未確認生物関係も、ちょっと頭がアレな感じの主張が混じっていたりするという点では空飛ぶ円盤だの心霊現象だのと似たり寄ったりなのだが、「平均的には他よりマシ」つー感じがしている(笑)。
 オカルト話につきものの、脅迫的言辞が少ないのも好印象の理由のひとつだ。つまり、怪しげな占い師がご高説を垂れるようなバラエティ番組なんかよりは「謎の生物探索」番組の方がまだしも「健康的」なんじゃねぇかと。

 ただ、未確認生物ネタには他のアレゲなものと違って、金がらみの生臭さがより濃く出るような傾向があるように思う。端的に言えば「観光資源」というやつだ。
 ちょっとその手の本を舐めてみると、日本全国に「○○ッシー」が何匹いるんだ、と苦笑せざるを得ない。
 大抵は薄弱な目撃情報しかないのだが、「名物」にして「村おこし」だ、饅頭だ煎餅だ想像図だ銅像だ、まあ、何とも香ばしい。

つちのこ今年も見つからず… 新潟日報2007年6月11日
糸魚川市西飛山の山奥で10日、「つちのこ探検隊」が幻の怪蛇の大捜索を決行した。捕まえたら賞金1億円、県内外から集まった約80人が夢を求めて、道なき道に分け入り奮闘したが今年も夢は雨の中に消えた。
インドの未確認生物、観光客誘致の目玉に Reuters 2007年 06月 10日
[ニューデリー 9日 ロイター] インドのメガラヤ州では、北米の「ビッグフット」やネパールの「イエティ」のような未確認生物を観光客誘致の目玉にしようとの計画が持ち上がっている。
 同州の深い森の中には、全身が毛で覆われたサルのような未確認生物が生息していると信じられている。
 現地の旅行関係者はヒンドゥスタン・タイムズ紙に対し、この未確認生物の目撃情報や大きな足跡などの証拠を、1997年から記録し続けていると語った。
 現地では、800平方キロに及ぶ広大な生物圏保護区を生かし、滝や洞穴などをめぐる「未確認生物追跡ツアー」を計画している。

 ところで。

 何年か前に、トルコのワン湖(ヴァン湖)に生息するという怪獣ジャノ(ジャナ)のVTRと称するものがメディアに取り上げられたことがあった。静かな湖面を巨大な茶色い動物のような何者かがプカ~と漂っていくアレだ。テレビでも何度も取り上げられたので、ご存知の方も多かろう。

 その後どうなったのか寡聞にして知らなかったのだが、元早大探検部の作家、高野秀行『怪獣記』という本が出た(そういや俺、『幻獣ムベンベを追え 』も初版でもってるよ^^;)。

 同書によれば、現地調査では、このVTR映像はヤラセ(作り物)である可能性が極めて高いとのこと。
 な~んだ…と思ったのだが、取材中の著者自身が正体不明の<何か>に遭遇してしまったというところがおもしろい。

 演出過剰でインチキくさいテレビ局の<現地緊急取材>番組と違い、お日様のにおいが感じられるような気持ちのいい本である。
 暗黒面に堕ちていない未知生物ファンにはオススメ。
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by SIGNAL-9 | 2007-07-25 11:45 | 読んだり見たり
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