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冥王星≠惑星


太陽系惑星は8個に、冥王星は矮惑星に格下げ - IAU総会で可決 MYCOMジャーナル Yoichi Yamashita 2006/8/25
チェコのプラハで開催中の国際天文学連合(The International Astronomical Union: IAU)総会で8月24日(現地時間)、太陽系の惑星(planet)数を8個とする定義案が賛成多数で採択された。1930年に発見されてから"惑星"の地位にあった冥王星(Pluto)は「矮(わい)惑星」(dwarf planet)という新分類に入れられる。
 これで、我々の太陽系の惑星は「水金地火木土天海」に、地球から見て太陽の裏側にあるバルカン星と、地球の裏側にあるらしいコリン星を加えて10個ということになってしまったわけだが。

 IAU総会は何気に政争の様相を呈して紛糾していたようだが、まあ、一応の決着を見たわけで、個人的には支持できる内容だと思う。

IAU 2006 General Assembly: Result of the IAU Resolution votes 24. August 2006, Prague
RESOLUTION 5A
The IAU therefore resolves that "planets" and other bodies in our Solar System be defined into three distinct categories in the following way:

(1) A "planet"1 is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.

(2) A "dwarf planet" is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape2 , (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.

(3) All other objects3 except satellites orbiting the Sun shall be referred to collectively as "Small Solar-System Bodies".

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1 The eight planets are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune.
2 An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories.
3 These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.
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  1. "惑星"とは、(a)太陽を周回する軌道で、(b)自己重力による静力学的平衡(ほぼ球形)形態を保つのに十分な質量があり、(c)その軌道周辺に似たものがない もの
  2. "矮惑星"とは、(a)太陽を周回する軌道で、(b)自己重力による静力学的平衡(ほぼ球形)形態を保つのに十分な質量があるが、(c)軌道周辺に似たものがないこともなく、(c)衛星ではない もの
ズサンな私訳をあげておいたが国立天文台の解説を見つけたので引用しなおしておく。
(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。

注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするか を決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。

注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む

冥王星についての決議
 国際天文学連合はさらに以下の決議をする:
  冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。
 いずれにしても基準は必要だし、基準自体がグレーゾーンであるのは好ましくないし、観測技術の向上によってやたらめったら「惑星」が増えるよりゃあマシだろう。まあ、これで「新惑星発見」という科学上の名誉がひとつ減ってしまったわけだが(いくらなんでもこの条件で新たに見つかるつーことはなかろう)。

 とはいえ、当事者以外にはどーでもいいニュースなわけで(笑)、マスコミも「教科書の書き換え」だの「占星術への影響」だのというどーでもいい影響に関して取り上げざるを得ないくらいどーでもいい話ではある。俺としても
  1. 「水金地火木バッテン荒川」的なダジャレがもう使えなくなる
  2. 「ガミラス冥王星基地の攻防」みたいな、SF設定にちょっと影響するかなぁ
程度しか思い浮かばん。

 ただ、「教科書をどーする」とかいう問題の取り上げ方はちょっと違うのではないかと思う。

 仮に書き換えが間に合わず教科書が古いままであっても、そこは教師が補完すりゃあいいだけの話で、「この教科書の内容が古くなっているのはなぜか」というのを取っ掛かりとして、この簡単な定義だけみても「なぜ太陽を周回してるのか」「質量があるとなぜ球体になるのか」等々、いくらでも話題を広げられるネタはあるわけだ。つーか、そういうのが科学教育つーものである。

 教科書に書いてあるとーりに教えるだけだったら教育を人間がやる必要ないものな。
by SIGNAL-9 | 2006-08-25 10:00 | 一般の話題
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