黄金週間で時間が取れたので、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」と「2nd GIG」を一気再鑑賞を敢行。
さすがに疲れたが、こういう濃ゆい作品は一気に見ないとわからない部分も多い。 監督の神山健治氏はもともと「機動警察パトレイバー」と押井守版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の間の時代の企画を持っておられたとのことで、士郎正宗原作よりさらに「現代」に近い設定である。 そのせいなのか、技術水準上のツジツマに首をかしげる部分(こんなことが実現してる時代に、コレがこうなの?みたいな)はあるが、SFとしての「誠意を持った」作りになっているので、個人的には好ましく感じる作品である。 まあ、衒学的セリフでの状況説明が多いのは、もう少しお話を単純にしてくれてもいいような気もする(音声情報で、「ショウイナンミン」が蜂の頭とか言われても字が思い浮かばんので一寸とねぇ…つーこと)が、「マイクロマシン」と「ナノマシン」の区別もついてないような「不誠実な」SFアニメも散見される中、ガジェットやギミックが、それとして機能しているのは快い。 つまり見ているうちにこちらの想像力も刺激されるのである。 個人的資質やバックグラウンドによるのだろうが、俺はアニメにしろ小説にしろSFというジャンルは好きだが、いわゆる異世界モノみたいなものはてんでダメな人間で、最近で言うと「ガラスの艦隊」なんてのは「なんで宇宙が舞台なのかわからない」という理由で入り込めないのである。また逆に、あまりにも現実から遊離しすぎた話を持ってこられてもダメで、ガンダムシリーズは素養としては目を通しているが、実際に好きなのはパトレイバーだったりする人間なんである。 「攻殻」世界は、どうやって人間の記憶を<外部記憶>するのか?とかイロイロ追求したいことはあるが(笑)、その辺りの勝手な妄想の余地を含めて楽しめる作品である。「電脳」というガジェットは現実にある程度影が見えてきていることだし、「攻性防壁」あたりはすでに現実に論議になっている。 ちなみに、攻性防壁の描写の中でハードウェアを破壊したりするのはおかしい、と指摘する向きもあるようだが、かつて現実にハードを破壊するソフトウェアをいうのは存在していたらしい。現物を見たわけではないが、ハードディスクに故意にスラッシングを起こさせて発火させるようなイタズラプログラムの話をjargon fileで読んだような記憶がある。 かくいう俺も丁稚時代に、ラインプリンタの制御コマンドを間違えてドラムを物理的に破損させたり、組み込み系の仕事ではバグでコンデンサから発火させたりという前科があり(笑)、まったくありえない話ではないように思う。 そこまでいかずとも、攻撃元にDoS仕掛けたりウィルスを送り込むようなファイアウォールは現実にもう存在してるわけである。 「攻殻SAC」の世界は今からおよそ20年後の2030年代だが、1980年代末のパトレイバーの設定年代が2000年前後だったのも10~20年後くらいというのが「近未来」のひとつの目安になっているということかもしれない。 パトレイバーを今の目で見て、ちょっと無理があるのは「携帯電話」というヤツが登場しないあたりだが(初期OVAとTVシリーズくらいまでは車載の電話は登場するが、いわゆるケータイは出てこない。そういえばパソ通は出てくるがインターネットも出てこないね)、それ以外の部分は比較的違和感無く見られる。これは、世相風俗なんてものは10~20年ではそうそう変わらないが、通信メディアみたいなモノの変化と影響力の大きさ(ケータイがあるとないでは話が変わってしまう)を逆に炙り出しているのだと思う。 そういう意味では実際の2030年にもう一回「攻殻」を見直してみて、自分がどういう感想を抱くのか楽しみでもある。 そういやあ、今年は黄砂の被害が酷かったが、「ドミニオン」(マンガのヤツね)を思い出したのは俺だけだろうか。俺だけだな(笑)
by SIGNAL-9
| 2006-05-08 18:04
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