【近デジ漁り】小ネタ:若き乱歩と場外乱闘。

 公私ともに立て込んでいるので、今日は小ネタである。

ラヂオ講演集. 第10輯 (東京放送局 編 大正14-15)

 「東京放送局」というのは、今のNHKである。

 初代総裁にかの後藤新平を頂き設立されたのが大正13年の11月、翌14年3月から本放送開始なので、この「ラヂオ講演集」というのはまさに黎明期の記録。
 近デジにはその十編が収蔵されている。

 ご家庭向けの話題から学術的な話題、時代柄の軍事関係の話題・アジ演説wまで、中々にバラエティに富んだ話者・内容である。後藤新平だの高田早苗だの北里柴三郎だの、著名人の「肉声」が記録されているので興味深く読める。

 で、なんでわざわざ第10輯を取り上げるかというと、この「ラヂオ講演集」、話者によっては肖像写真が載っているのだが、こんな写真を発見したからだ。
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 江戸川乱歩若かりし日の写真である。

 流行りのカンカン帽に蝶ネクタイ、白スーツ。
 なかなかの伊達男っぷりではないか。

 乱歩先生は明治27年(1894年)のお生まれなので、大正14年というと三十才前後。文壇デビュー直後、明智小五郎が登場する「D坂の殺人事件」や「心理試験」を書いた頃の写真だろう。

 乱歩先生が日本の推理・SF・怪奇幻想小説分野に堂々たる足跡を残しておられる巨匠であることは言うまでも無いが、ご尊顔として印象に残っているのは、晩年の禿頭・眼鏡の写真、という人は多いのではないか。
 少なくとも俺はそうだった。

 こういう「発見」があるので近デジ漁りは止められないのである。

 もう一個、小ネタ。

 以前、近デジ本の「ラクガキ」について記事を書いたが、最近見つけた面白いラクガキ。

今の世の奇蹟(黒岩涙香 著 大正8)

 その扉と巻末で、またしても読者同士が場外乱闘w
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 「Y・I生」「政治家志望生」クンはよっぽど感銘を受けたのだろう、「実に貴い本だ」「実に不思議だ」「黒岩先生は偉い」「偉大なる教訓を得ました」と褒めそやしているが、一方で「何が不思議だ 面白くない」「何が偉大だ エラクない」「黒岩先生凡夫」とメチャクチャにdisってるヤツ。

 さて、現代の読者なら先刻ご承知の如く、この本、黒岩涙香「著」となっているが、黒岩涙香を知ってる人ならご推察の通り、中身はウェルズの"The Man Who Could Work Miracles"(「奇蹟人間」)のパクリ「翻案」である。

 その意味では、黒岩涙香的には誤爆、「おもしろくない」だの「凡夫」だのdisられててもいい迷惑という気がしないでもないが、まあ、パクリ「翻案」の常として以て瞑すべしというべきだろうか(笑)
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by SIGNAL-9 | 2013-04-24 15:36 | 読んだり見たり | Comments(0)
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