ロシアの隕石事件、 けが人が一杯出たことも、家屋に大きな被害が出たことも重々承知の上で、あえて不謹慎な表現をすると「スゴかった」。
あの大きさの隕石があんな浅い角度で突入してきて空中爆発するところが、これほど大量に記録されたなんて、空前絶後のことだ。 今回は突入角度が浅かった上、人口密集地に落ちたので大きな被害をもたらしたが、隕石落下自体はそう珍しいものではないのは周知のこと。 ふと思いついて、手元にある江戸時代の奇談集を漁ってみた。 大きな石が轟音と共に落ちてきたというものはないだろうか。 反古のうらがき玄蕃石というのは、敷石とか蓋石に使用する長方形の板状の石のことなので、これはどうやら形状的に隕石のセンは無さそうだ。 著者の鈴木桃野は、「南の遠国にて山焼きありて吹上げたる者なるべし」と推測している。「切石といふも方直に切りたる石にてはなく、へげたるものなるべし」、切石状といっても切ったものじゃなくて、剥がれたものなんじゃないか…と、何を言ってるのかよく分からないが(笑)、要するに剥離した石が山火事の影響で吹き上がったもの…ということなのかな。 そんな事ありうるのだろうか。 半日閑話 巻16これまたよくわからない。雷鳴に光り物、ということで隕石と共通するような感じはあるが、大きさ一間半というと2.7メートル。 エネルギー=(1/2)質量×速度の二乗である。いくら何でも、地上に落ちた時のサイズがそんなにデカい隕石だったら、こんな騒ぎで済むはずはない。 ふわふわ落ちてきたとかいうのなら別だが。 「異国より員数を計る為」というのも、どういう解釈なのか学の無い俺にはさっぱりわからん。 どうも怪しげなものばっかりだな。もう少しマトモな記録はないのか知らん…と探していたら、おお、毎度おなじみ『甲子夜話』巻四十にそのものずばりがあるではないか。 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! こりゃあ間違いなく隕石である。 奇談好きのボクらのアイドル、平戸の殿様、本所のご隠居こと松浦静山公、こういうことまでしっかり記録してくださっているのだな。ありがたいことだ。 さすが松浦静山、「星が落ちて石になった」=隕石というものを認識している教養もさることながら、この活き活きとして要点を押さえた記録は見事なものだ。 カガク的に正しい隕石の記録は『天文年鑑』とか読めばいいのだが、こういうナマの目撃証言はやはり迫力がある。 時代も下って明治大正の記録だと、近代デジタルライブラリーでも、このような「ナマっぽい」隕石の目撃証言が読める。 日本の隕石史でもけっこう有名な美濃隕石に関しては、『美濃隕石 : 附・日本隕石略説』(脇水鉄五郎 著 明44)が詳しい。 その他、『岡山県気象報告』(岡山県測候所 編 大正15)にも、隕石発見の生き生きとした記録がある。
by signal-9
| 2013-02-21 16:40
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