「ドルゲ」さんに関して発作的にググってみた。

 よく読ませてもらっているセキュリティホールmemo経由で、絶望書店日記さんの「2010/11/16 「このドラマはフィクションです」の始まりはバロム1じゃなかった!」という記事を読んだ。
この手の「このドラマはフィクションです」系テロップは1972年の『超人バロム・1』放映時に、ドルゲ少年が学校でいじめられたから悪役の名前を変えてと訴えたときからはじまったと当時も云われていたし、いまもあちこちで云われていて、私もそうだと信じてたんですが、すでにその8年前にはあったのですな。

 うむ、このバロム1の件は、俺にもリアルタイムの記憶がある。
今回ウェブもいろいろ経巡ってみて、何年かのちにテレビ番組でこのドルゲ一家を探したけど見つからずに実在しないことが判明した、「このドラマはフィクションです」系テロップは誰かのいたずらから始まったという、「噂からできた放送業界のルール」なる話が広まっていることを知りました。
 これは『やりすぎコージー』というテレビ番組で3年前にやった「やりすぎ未公開都市伝説」で伊集院光が語ったものらしい。
 ふーん。
 「都市伝説広場」のこちらの記事によると;
どれだけ探してもドルゲさんという人物は見つからないのだ。
神戸に住んでいるドイツ人で音楽講師をしているという、かなり詳細な情報までそろっているにもかかわらず、見つからなかったという。
もう帰国をしてしまったのではないかと思い、その方面も調査したのだがドルゲ氏なる人物を探すことはできなかった。
 この話の出所がタレントの伊集院光氏のテレビでの発言が元になっているのは確かなようだ。

 「絶望書店日記」で指摘されているように、名前も音楽家であることも判ってるヒトが見つからないなんてことあるのかいな? とちょっと奇異に思ったので、発作的に軽くググってみたわけである。暮れも押し詰まってるのに我ながら何をやっているのか。

 さて、まずはこのバロム1とドルゲでググってみると、当時の日本で表記されていたこの音楽家の姓名が出てきた。

 いわく「アルント・ドルゲ」氏。

 念の為、この"アルント・ドルゲ"でググってみると、「大阪音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業、アルント・ドルゲに師事」という音楽家の方のプロフィールが出てくる。

 「アルント・ドルゲ」氏は大阪音大で教鞭を執られていた、多分ピアニスト、というのは間違いないようだ。

 さて、本名の綴りがわからないかなぁ、でもドイツ語なんて知らないし…と思ったが、[ドルゲ]―>[ゾルゲ]という連想が湧いたw。

 ゾルゲ事件のリヒャルト・ゾルゲもいちおうドイツ人(ドイツ系ソ連人というのが正しいのかな?)だ。「リヒャルト・ゾルゲ」の綴りは Richard Sorge である事はwikiPediaに出ている。

 「ゾルゲ」が Sorge なら、「ドルゲ」だったら、Dorge なんじゃないか?

 この英語の中間試験で切羽詰まった中学生みたいな推測に基づき再度ググってみると、ツジヤンのドイツ日記というページが見つかった。
1975年3月、僕は留学のためにドイツ・ブレーメンにいた。僕はこのブレーメンの音楽大学(Konzervatorium der fleien Hansestadt Bremen)の指揮科に入学した。 この大学に来ることになったのは、ここの学長(京響の第2代目常任指揮者の)Hans Joahim Kauffmann先生と友人のピアニストで大阪音楽大学の教授をしていたAlndt Dorge 先生が留学生をさがしておられたのであった。ちょうどその頃僕の母親が喫茶店を開いていた…ほんの一年ほどだったのだが。ドルゲ先生はこの店の常連だった。店の中に貼ってあった僕のオーケストラ指揮デビューのポスターがドルゲ先生の目に留まったのだ。それから一年後、僕はドイツへと旅立った。
 おお、綴りが判明したではないか。ご本人と親交があった方の証言なんだからかなり確度は高いんじゃないか?

「アルント・ドルゲ」=Alndt Dorge。

 ところが"Alndt Dorge"でググってみると、グーグルは、
「もしかして: "Arndt Dorge"」
と言ってくる。

 「ツジヤンのドイツ日記」にある他の言葉、"Konzervatorium der fleien Hansestadt Bremen"でググッても「"Konservatorium der freien Hansestadt Bremen"じゃね?」、「"Hans Joahim Kauffmann"じゃなくて"Hans Joachim Kauffmann"じゃね?」と言ってくる。

 Googleが「もしかしてして」きた、"Hans Joachim Kauffmann"は、その綴り通りのWikiPediaにエントリがあるし、Bremen(ブレーメン)の方もGoogleの綴りが正しいようなので、「ツジヤンのドイツ日記」さんの、RとLの勘違いの可能性はあるかも。

 「アルント・ドルゲ」=Arndt Dorge ?

 うーん、残念ながら"Arndt Dorge"で、これ!という検索結果はないみたいだ。

 ただ、「1970年代に、あのブレーメン音楽大学(ブレーメン芸術大学)の学長さんの友達で、日本の大阪音大でピアノを教えていたDorgeさん」だったら、「どれだけ探してもドルゲさんという人物は見つからない」なんてことはないんじゃないかと思うのだよ。

 ちなみに俺がここまでの検索に費やした時間はたった16分だった。

 テレビ局かラジオ局か知らないが、「どれだけ探しても見つからない」というのは、「探し方が悪いんじゃね?」と思うのだが。
 だってシロートの俺が、たった16分、コンピュータ上だけで、この程度の下調べは出来るんだから。
 ブレーメン音楽大学に問い合わせれば、何か判ると思うんだけど。

 遠い異国の地で教育に従事してくれた人を、「都市伝説」と称してまるで妖怪みたいに扱うのは、いくらお笑い番組とはいえ、ちょっとヒドくないかと思うのだが。
[PR]
by signal-9 | 2012-12-26 17:37 | 奇妙な論理 | Comments(0)
<< 今年もそろそろ終わりだが。 【じょしらくBパート風】佃島 >>