技術系MLのログ公開中止に思う

USERS GROUPといえば国内でも最大手の技術MLであるが、管理者のはらみずしんいち氏のBlogによると、過去ログの掲載を中止したそうな。

Shinichi Haramizu's Blog 2005年5月3日の記事
しかしながら、メーリングリストに投稿したメールにメールアドレスが掲載されており、削除しなければ個人情報保護を元に訴えるという旨のメールが来ました。迷惑メールが来る、というのが本人の主張ではありましたが、このようの訴訟を楯にコミュニケーションをされるという状況では、サイトを運営していく上では訴訟のリスクを背負う状況になっているため、すべての方に連絡を取って掲載をすることも難しいため停止をせざるえなくなりました。
続報として、2005年5月7日の記事で、もう少し細かく状況と氏の考えが伝えられているのでそちらもご参照いただきたい。

 単純な要約はいけないのだろうが、俺の理解では、「できるだけの対応はしてきたつもりだが、法律をタテに訴えるぞなんて脅されちゃあなぁ」というところだろうか。

 ウィルスやらSPAMやらの問題を考えると、確かに削除要求者にも一理はある。
 一般論としてはやたらめったら手前のメアドを晒すのは得策ではない。現状のインターネット状況を考えると残念ながらこれが事実である。

 特に、個人のメアドやいわゆる捨てメアドならいざしらず、公的に使用している-例えば会社の-メアドを公開目的で使うのは、今の時代はテメエ以外の人間にも迷惑をかけることもあるわけで慎重になるべきだ(俺は企業内でいわゆるpostmasterをけっこう長く勤めていたので、これはそっち方面のバイアスがかかった意見ではある。「管理してる方」からすりゃあ「自由と勝手は違うんだ」ってことだな)。

 また、この「個人情報保護法を楯に」というのもポイントではある。
 個人的には訴えたところでメリットはなにもない(勝訴できる可能性はない)と思うのだが、やられる方は迷惑なことには違いない。法律というものは抑止力を期待されて作られている以上、そういう風に使われるのもある意味仕方がないことではある。だからさらにヤバげな人権擁護法案にはあれだけ異論がでるわけだな。
 昔だったら「話し合い」で済んだかもしれない問題がいきなり、「訴える」→「そんなら止める」と短絡的にいってしまう、そういう「法律の怖さ」というのはある。

 また、そのような状況変化に伴う、使用者のコミュニティ自体の質的な変化ということもある。
 はらみず氏もそれとなく触れておられるが、技術系MLですら、上のような状況の変化すら感知できないような向こう見ずなシロートが多くなってきて、昔からの「常識」が通用しにくくなっているのは俺も感じることがある。そのくせ、急に気が付いた自分の「権利」には敏感なわけだ。

 「コミュニティの構成要素としての「義務」も果たしせないようなテルミ(tell me)君やギブミ(give me)ちゃんや<初心者>様が、「権利」だけ主張するなんてどうよ?」

 「仮免以前が公道に乗り出してくるんじゃない」

 つー様な、牢名主的意見は、(心情的には残念ながら)現状にそぐわなくなってきているのではないか。

 そもそも「インターネット=匿名」みたいな変な概念が一般ピープルに流布されたのが悪いのかもしれない。 インターネットは匿名を保障できる仕掛けではないし、匿名が「認められている」わけでもない。そう思うのは勝手だが、そんな「ルール」は俺の知る限りどこにもない。
 だが、そんなことすら理解できない人々の参加を止めることもできないわけである。

 好まざるとにかかわらず、状況はどんどん変化していくわけであり、今後もコミュニティを成立させていこうと思うのであれば、コミュニティ側の「昔ながらの」ルールも状況に対応して変化していかざるを得ない。
 その意味で、はらみず氏の判断は支持できる…というか、支持せざるを得ないように思われる。

 …しっかし、いきなり「訴えてやる!」つーのはねぇ(嘆息)。
 どことなく北朝鮮や中国の恫喝外交に似ているな(笑)
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by SIGNAL-9 | 2005-05-10 12:02 | 奇妙な論理 | Comments(0)
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