おもしろ図像で楽しむ 近代日本の小学教科書 樹下龍児 中央公論新社。
好いたらしい本だ。 単純に「素晴らしい」でもなく「面白い」でもないのは、ちょっと嫉妬が混じってるから。この辺の話、俺もブログのネタに考えてたからだ(笑) 俺のごときチンカスの嫉妬なんぞ問題にならない、さすがに歴史と造形美術のエキスパート・プロの仕事である。 過不足無く抑制のきいた品の良い文章といい、図版の選択眼といい元資料の豊富さといい、とてもではないが俺ごときでは著者の足下のエベレストの麓にも及ばない。 特に感心したのは、これだけの図版を逐一復元・修正したその労力と能力である。 判型が四六判なのが惜しいくらいだ。 図版がもっと大きければもっと細部まで楽しめるだろうに…というのはいささか贅沢な望みだろうか。 図版を見てるだけで楽しいし、本文が又、俺内蔵の「へぇ」ボタンが壊れるほどの内容の濃さ。 後書きを見る限り、著者の元にはまだまだタマは残っているようだ。 たぶんこの日本近代の教科書というタマだけで、他にも色々な切り口ができる。 本書の東西南北の教え方の絵を時系列で比較してみた章なんか実におもしろいので、もっと詳細な分析とか、物理学(窮理学)・博物学全般に範囲を広げた分析とか、是非読んでみたい。 俺としては強く続編・続々編を希望するのだが、このクオリティだと大変だよなぁ。
by signal-9
| 2012-01-19 15:02
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