減容と保管の方策を急ぐべきだ。

松戸市公式ホームページ/剪定枝・落ち葉及び草の収集の変更について
このたびの東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う、放射性物質の飛散が原因で、本市の焼却灰(飛灰)に含まれる放射性物質の値が、国の暫定的な基準値(8,000ベクレル/kg)を超えたため、対策として大口の剪定枝等の焼却施設への搬入を停止しました。

 その結果、和名ヶ谷クリーンセンターの飛灰の値基準値を下回りましたが、クリーンセンターの飛灰の値は減少したものの基準値を超える状態が続いています。

 今後の対策としまして、家庭から出る剪定枝・落ち葉及び草についても、当面、焼却施設への搬入を停止することになりました。

 それに伴い剪定枝・落ち葉及び草の収集を、8月22日(月)から次のとおり行っていきますのでご理解ご協力をお願いします。

 焼却灰の放射能濃度についての報告書を見ると、8月22日からの家庭から出される剪定枝焼却処理停止前後で確かに減少しているようだが劇的というほどではない(対策前の漸減傾向とさほど大差がない減り方のように見える)。
 俺的にはもう少しデータが積み重ねられないと有効度は判断できないが、松戸市としては有効度高しと判断したのだろう。

 いずれにしても落ち葉や草木が主要な汚染源のひとつであることは蓋然性が高いことに異論はない。

 これから冬を迎え、葉っぱは落ちるし草も枯れる。枯れた植物は再飛散もしやすかろうし、落ち葉>植物>また落ち葉というスパイラルも発生するだろう。そのまま放置しておくと延々と悩まされることになる。

 平常よりも多少コストはかかるかもしれないが、この秋から冬は、行政は積極的に街路樹・公園などの落ち葉や雑草類の始末を付けるべきだと思う。
 その意味ではこの松戸市の取り組みに他自治体も追従する動きがあるのは歓迎すべき事だろう。

 が、ちょっとよくわからないのは、分別回収して燃やさなくなった剪定枝の行き先である。

 燃やしてしまえばイヤでも減容されるが、不燃物扱いだとカサばったままである。その状態でどこかに置いておいて堆肥化するにしても燃やすほどの減容にはならないだろう。
 俺の邪推であることを望むが、この分別回収が「焼却灰の置き場に困って仕方なく分別することにした」だったら、問題を先送りにしているだけということになる。

 これ、今後の積極的除染作業や、出てくるかもしれない汚染されて出荷できなくなった農産物にも言えることだが、植物というのは非常に嵩張るものなので、減容と保管のことを考えていないとあっという間に破綻することになりかねない。

 最近の焼却炉ならば燃やしてしまってもセシウムは再飛散せず、焼却灰とフィルタでトラップできる、というのが公式見解なのであるから、結局「燃やしてしまう」以外の選択肢はないのではないか。

 で、いずれにしても問題は、これらの焼却灰などを「誰がどこにどのように保管するか?」に帰着する。

 個人的には以前から固化前提での深海投棄を主張してきたが、この話がまったく俎上に載らないということは、俺のごとき愚民の浅慮では計り知れない問題があるのであろう。
 海がダメで、埋設するか人里離れた場所に保管するか程度しか選択肢がないとすれば、具体策もおのずと絞られてくるような気がする。
  • 減容の能力が十分でない自治体は、それなりの対価を手当てしてでも焼却・コンクリート固化を引き受けてくれる事業者を見つける。

  • 自前で埋設場所が確保できない自治体は、同じくそれなりの対価を手当てして、埋設・保管場所を提供してくれるところを探す。

 「フクイチから出たものはフクイチへ=廃棄物は福島県で保管しろ」みたいな意見には、プライマリな被害者である福島県民の心情を考えると到底賛成できないが、「これ以上リスクを拡散させるな」「オラが県に持ち込むことは断固反対」という「本音」も理解できる。

 そもそも「安全」と「安心」はレベルが違う話だというのは俺の当初からの意見であり、「カガク的に安全だからお前の所に埋設させろ」なんて話はまとまりようがないだろう、というのは妥当な推測なのではあるまいか(例の大文字焼きや花火の問題が今頭の中をよぎっている)。
  • 今回の災害由来の放射線源はほぼCs137とCs134であり、比率は概ね1:1なので、半減期2年のCs134の減衰により10年以下の期間で空間放射線量はかなり低下することが期待できる。

  • Cs由来のγ線は比較的遮蔽が容易である。ある程度の密度のある土や水でもかなり押さえられる。また逆二乗則もあるので、人家からある程度距離があれば、一次放射線の影響はほとんどない。

  • 問題は放射線源であるということで、セシウム(最終的なバリウムも)それ自体は生化学的には(比較的)危険なシロモノではない。経年的にリスクは低下していく。

  • 保管(搬入や埋設作業などを含め)するに当たって飛散などによる二次被曝のリスクはなるべく軽減する必要がある。

 この辺りを踏まえると、思いつくのは「搬入が比較的容易で人が定住していない場所」だ。

 例えば、日本には、海岸線が100メートル以上あり定住者がいない、いわゆる「無人島」は6,000以上ある。搬入は水上運送が利用できるだろうし、灰や植物なら経年的には「無害」なものに変わるので、有毒物質溢れる産廃ゴミの島みたいなことにはならないだろう。

 「あそこだここだ」と迂闊なことは言う気はないし、そもそもの運搬コストや自然保護や漁業権などの問題があることは重々承知だが、このあたりを埋設・保管場所に使用するなどの議論も、そろそろ必要なのではないか。

 かなり確実に予想できることは、今の状況を鑑みるに、この課題はイチ・ゼロで解決できる問題ではなく、状況に応じた複数の策が必要になるであろう事だ。

「全部フクイチに集めりゃいい」
「全部どっかの無人島に」
「全部深海投棄で」

 というような「全部」を一気に解決するような策ではなく、この部分はココ、これはこの方法(「何もしない」という選択も含めて)で、という分割統治なアプローチが必要だろう。
 つまり「国が一括でなんとかしてくれるのを待つ」ではなく、現実に課題に直面している自治体それぞれの自主的な活動が必要だろうと思う。

 通常のゴミ処理のシステムに齟齬を来している(処理に困る焼却灰が生み出され続けている)のは、風評でもなければ心配しすぎでもない、目の前にある現実の問題である。
 おまけに短期間(災害の発生した本年中)にある程度何とかしないと、どんどん問題が厄介になる可能性が高い。

 コンピュータ屋の知見で言えば、分割統治式アプローチは、概してコスト高に繋がるのだが、この問題に関しては、出来る限り早いうちに、ドカンとコストをかけてでも問題の軽減を図るべきだと思う。
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by signal-9 | 2011-09-29 14:14 | 東電災害
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