都市システムの維持という観点

 そろそろ「都市システム」の維持という観点から、放射性物質との戦い方を考えてみる必要があると思うのである。

 下水汚泥-焼却灰の取り扱いによって、汚泥処理システムの維持が危機を迎えているが、この種の問題がまだまだボロボロ出てくるだろうと思うからである。

 例えば、泥をみたらセシウムと思えという観点から、気になっているのが、河川の浚渫(しゅんせつ)なのである。

 意外と知られていないかもしれないが、都市部を流れている河川は定期的に川底を浚って、土砂やヘドロを除去している。船の運航の為に水深を確保したり、洪水などに備える為だ。
 東京都第一建設事務所によると、対象は27河川、約130キロが浚渫事業の対象となっており、掘削した土砂を東京湾の中央防波堤外側にある新海面処分場へ運搬しており、平成19年度の「隅田川、新河岸川、中川、日本橋川、亀島川 、新中川の6河川9箇所」の工事では、「延長は約 1,600メートル、掘削する土の量は約 97,200 立方メートル(小学校などの25メートルプールで約243杯分)」とのことである。

 現在までに判明した都市部での放射性物質の振る舞いから類推して、川底には結構な量のセシウムが集められていると推測できる。
 作業の安全性や廃棄方法を含めて、調査・検討が必要だろう。

 もうひとつ、草木をみたらセシウムと思えという観点からは、公園とか街路樹である。

原発事故関連情報(6):森林生態系における放射性セシウム(Cs)の動態とキノコへの移行 日本土壌肥料学会によると、
このように森林におけるCs-137の分布に強く係っているのが、森林生態系の栄養塩サイクルに伴うCsの循環である。即ち、土壌表層のCs-137が植物によって経根吸収されて葉に至り、これが再び溶脱やリターと共に林床に帰るという、一種のポンプの様な作用が働いている。この循環の中で、Cs-137は可給態(植物にとって利用されやすい存在形態)を維持し、それ故森林のキノコや植物中のCs-137は比較的高濃度に維持される…全沈着量のうちCs-137の80%、Sr-90の63%が深さ5 cmまでの表層土壌に存在していることが報告されている。残りの部分は、より深い土壌と植物(主として樹木)に存在する。樹木中のKは、個体内の生物活動が活発な部分に集まることが知られており、Cs-137もほぼ同様の傾向を持つ。例えば、チェルノブイリ事故によって汚染されたマツの場合は、若い葉や、樹幹の形成層付近で濃度が高いことが確認されている
これはいわゆる「森林」での話だが、公園や街路樹の樹木でも挙動的には同じ事だろう。つまり、根→幹→葉→根…というサイクルが繰り返される可能性が高い。
 若葉の手入れとか落ち葉の始末が放射線の低減に寄与する可能性はあると思う(植物の種類にもよるだろうが)。
 落ち葉に含まれるセシウムで内部被曝の心配をするまでのことはなかろうが(ンナもの喰うやつはいない)、フツーの可燃ゴミとして焼却してしまうと、またぞろ下水焼却灰と同じようなことにならないかが心配である。

 東京大学は本郷や柏のキャンパスの空間線量の調査をやってるくらいだから、小石川植物園とかでセシウムの調査をやってみたらどうか。あそこは広葉樹から針葉樹まで様々な樹木があるし、池や芝生もあるので良いモデルになると思うのだが。

 とまあ、思いついたものを挙げてみたが、いずれにしても今判ってることから言えるのは、都市部においては「水」と「植物」がキーポイントである、ということだ。

 これらの扱いは、今現在でも「都市のシステム」に組み込まれてマネージされているわけだが、このシステム-「維持する仕掛け」が放射性物質という余計なもののためにあちこちに齟齬を来しつつある。

 見てみないふりをしていても状況はよくはならないのであるから、その「維持する仕掛け」に放射性物質の取り扱いを加味して再構成する必要がある。

 これは間違いなく、主管しているお役所の仕事なんである。

 問題が顕在化してから国の基準を求めるなどという、世の中をナメきったようなスピードではなく、想像力というものを働かせて早め早めに手を回しておくことを強く望む。
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by signal-9 | 2011-06-20 16:33 | 東電災害
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