「セシウムは30年で半分にしかならない」か?

「セシウムの半減期は30年。つまり30年で放射線量は半分にしかならない。だからここにはン十年住めない」みたいな論法についてちょっと考えてみる。

 現在の空間放射線の大半がセシウム同位体由来であることは確からしいと思われる。

 だが、今、問題になっている「セシウム」には二種類ある。Cs134と137である。Cs137の半減期は確かに30年だが、Cs134は半減期2年である。

原子力資料情報室によれば;

Cs134 半減期 2.06年
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.19ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小さな線源があると、ガンマ線によって1日に0.0055ミリシーベルトの外部被曝を受ける。

Cs137 半減期 30.1年
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.13ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小線源があると、ガンマ線によって1日に0.0019ミリシ-ベルトの外部被曝を受ける。

 つまり、Cs134の方が半減期が短い=放射線を短い時間でいっぱい出すから燃え尽きるのが早いというわけだ。同じ距離(1m)に同じ量(100万Bq)あると、0.0055:0.0019=2.89:1 なので、Cs134の方が2.89倍「明るい」と。

 今、我々が受けている原発由来の放射線について考えてみる。
 この放射線はCs134とCs137の両方から受けているもののトータルである。

 Cs134とCs137の量が同じくらいだと仮定すると、Cs134の方が2.89倍「明るい」から、大雑把に我々の受けている放射線のだいたい6割くらいがCs134のせい、と仮定してみよう。

 つまり、Cs134が600、Cs137が400くらいの「明るさ」として、このトータルが1000。このトータル1000が、今我々が受けている放射線だとする。(桁に意味はない)

 2年(730日)後にはどうなるかというと、Cs137はほとんど減らないので明るさはそのままだが、CS134は半減期で元の50%の明るさになる。トータルでいうと689くらい、つまり元の1000の69%である。

 4年後には52%、元のおよそ半分になる。

 Cs137の半減期30年の半分、15年後には、Cs134は元の1%以下になるので、トータルとしては元の28%くらいになる。

 もっと悲観的に、134と137に由来する放射線量の比が1:1だとしても、4年で58%、7年で元の半分以下になる。

 勘違いしないで欲しいのは、別に「だから安全だ」みたいなことをいってるのではないということだ。
 仮定が多いし、素人のざっくり計算なので間違ってるかもしれない。

 だが、いわゆる「セシウム」には半減期の短いCs134が含まれていること、そして物理的半減期は絶対に変わらないことは明らかなことなので、「30年で放射線量は半分にしかならない」はあまりにも悲観的すぎる見積もりなのではないか、ということだ。

 核種分析だって十分に行われているとはいえないし、放射線量だって明らかにかなりマダラである。まだまだ判らないことが多い。

 情報が少ない段階で楽観的すぎるのは論外だが、悲観的すぎるのも先を見誤る元になると思う。
[PR]
by signal-9 | 2011-05-26 18:04 | 東電災害 | Comments(0)
<< 「一般公衆の1年間の被曝限度は... 都市の除染についてちょっと考えてみる >>