「ビタミンK与えず乳児死亡」

「ビタミンK与えず乳児死亡」母親が助産師提訴 2010年7月9日 読売新聞
生後2か月の女児が死亡したのは、出生後の投与が常識になっているビタミンKを与えなかったためビタミンK欠乏性出血症になったことが原因として、母親(33)が山口市の助産師(43)を相手取り、損害賠償請求訴訟を山口地裁に起こしていることがわかった。

 助産師は、ビタミンKの代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与えていた。錠剤は、助産師が所属する自然療法普及の団体が推奨するものだった。

(中略)

助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。

 日本助産師会(東京)によると、助産師は2009年10月に提出した女児死亡についての報告書でビタミンKを投与しなかったことを認めているという。同会は同年12月、助産師が所属する団体に「ビタミンKなどの代わりに錠剤投与を勧めないこと」などを口頭で申し入れた。ビタミンKについて、同会は「保護者の強い反対がない限り、当たり前の行為として投与している」としている。
「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの」。要するにレメディ、ホメオパシーだな。

「ビタミンK欠乏性出血症」に関してはgooヘルスケアなどに記載があるが、ケイツーシロップとか配合済み人工乳とかが使われているようだ。

 記事中で言及されている「日本助産師会」というのは社団法人 日本助産師会のことと思う。その下部組織によっては、ホメオパシーの講習会・講演会を行っているところが多々あるようだ。千葉市助産師会とか神奈川県支部とか。
putoriusさんのブログ「鼬、キーボードを叩く」の記事、「助産師会とホメオパシーとの濃密な関係」2010年2月16日に詳しい調査が出ているので、参照されたい)。

 ホメオパシーに関しては古典的名著、マーチン・ガードナーの「奇妙な論理」を始めとして、科学方面からは多くの批判が寄せられていることは今更言うまでもない。ちなみに俺の知己の医学関係者は『未開の呪術』と評していた。

 ちなみに我が国では、前首相のキモ入りで「統合医療」推進へ厚労省がプロジェクトチームというのがホメオパシーを含むいわゆる代替医療の「研究」を始めたようである。

「統合医療プロジェクトチーム」第1回会合 厚生労働省 平成22年2月5日によれば
○医療には、近代西洋医学以外に、伝統医学、自然療法、ホメオパチー、ハーブ(薬草)、心身療法、芸術療法、音楽療法、温泉療法など多くのものがあり、これらを相補・代替医療(Complementary and Alternative Medicine, CAM)とよんでいる。
○これらの相補・代替医療を近代西洋医学に統合して、患者中心の医療を行うものが統合医療である。
として、10億円以上の予算を突っ込んで有効性の「研究」を行っているようだ。

 まあ、研究の俎上に載せること自体は悪いことではなかろうし、結果的に怪しいシロモノの「仕分け」になるのだったら良いのかもしれないが、これだけのカネを突っ込んでわざわざ研究するまでもないようなシロモノも研究対象に並んでいるような気もする。

 おまけにそもそもの話の始まりである「前首相」殿は、どう見てもビリーバーなので、ヘンな研究にならないことを祈るばかりだ。

 私事で恐縮だが、俺も難治性の持病があって、もうン10年も医者通いをしている。

 なので、患者本人が、プラシーボだろうがなんだろうが「効きそうな」方法に縋りたくなる気持ちはよく分かる。

 だから、患者本人が自分の意志でもって代替医療を選択するということに関してはまったく異論がない。

 だが本人でもない、人の命を預かる立場の者が、否定的な情報が多々あるにもかかわらず、他者に自分の「信仰」を押しつけるというのは、人体実験以外の何物でもないと思う。
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by signal-9 | 2010-07-09 12:47 | 奇妙な論理 | Comments(0)
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